2025年11月17日更新事業承継

事業承継の支援とは?M&Aでの活用法や相談先、2024年最新の補助金まで解説

事業承継の支援には、国や専門家による多様なサービスがあります。M&Aを含めた承継方法の相談先や、最新の補助金制度まで、自社に最適な支援を見つけるためのポイントをわかりやすく解説します。

目次
  1. 事業承継支援の重要性
  2. 事業承継の支援が必要となる企業の特徴
  3. 事業承継の主な手法とそれぞれの特徴
  4. 事業承継の主な相談先と支援内容
  5. 中小機構による事業承継支援マニュアル
  6. 専門家による事業承継コンサルティングの種類
  7. 後継者の育成支援
  8. 事業承継の支援者に求められる専門性と資格
  9. 【2024年最新】M&Aでも活用できる事業承継・引継ぎ補助金
  10. 事業承継にかかる費用と活用できる国の支援策
  11. 事業承継支援を有効活用するための2つの注意点
  12. まとめ
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事業承継支援の重要性

事業承継の対策をしっかり実施しないと、事業継続そのものが困難になってしまいます。事業を安心して継続するには事業承継の対策が必要不可欠です。今回は、さまざまな事業承継支援について紹介します。

※関連記事
事業承継とは?方法や事業承継税制・補助金、M&Aでの活用について解説

事業承継の支援が必要となる企業の特徴

事業承継の際に、支援が必要である企業の特徴を3つほど紹介します。

①オーナー企業であること

オーナー企業の経営者の場合、事業を1人で全てこなしていることが多いです。

また、オーナー企業では経営者が、企業の銀行借入金に対して連帯保証人になっていたり、企業に営業資本を貸し付けていたりするなど、企業と現経営者の財産が一緒になっていることがあります。

経営と個人が一体化しているため、突然経営者が不在になると、事業の継続性や経営の一体感が失われ、事業が立ち行かなくなるリスクがあります。そのため、計画的に後継者へ経営を移行していくプロセスが不可欠です。

②後継者がいないこと

後継者がいない場合は、後継者を探すところから始まります。後継者探しには多くの時間が必要になり、後継者を育成することも視野に入れると約10年はかかります。

後継者問題は、経営者が健康で判断能力のあるうちに早期に着手することが重要です。経営者の体調不良などで急に経営が困難になってからでは、最適な承継ができず手遅れになる可能性があります。

③相続トラブル

複数の後継者候補がいる場合、別の問題が発生します。事業承継における相続トラブルです。例えば、遺産を公平に分配させることを重視すれば、将来の経営に支障をきたすこともあります。

大局的なプランを立てて、後継者に自社の株式を引き継ぐことが必要です。いくら仲の良い兄弟でも、相続が始まるとどうなるかわかりません。

経営者の予想だにしない相続の発生によって、残された親族同士の利害関係がかみ合わず、企業の財産や経営が分解されると、経営状況が悪化します。

事業承継の主な手法とそれぞれの特徴

事業承継には、誰に事業を引き継ぐかによって主に3つの手法があります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、自社の状況に合った方法を選択することが重要です。
 

親族内承継

親族内承継は、経営者の子どもや配偶者、兄弟姉妹などの親族に事業を引き継ぐ方法です。長年にわたり最も一般的な手法とされてきました。内外の関係者から受け入れられやすく、後継者を早期に決定できれば準備期間を十分に確保できる点がメリットです。一方で、親族内に適任者がいない、相続人が複数いる場合にトラブルに発展する可能性があるといった課題もあります。

従業員承継(EBO)

従業員承継は、役員や従業員の中から後継者を選び、事業を引き継ぐ方法です。企業の経営方針や文化を深く理解しているため、経営の安定性を保ちやすいメリットがあります。しかし、後継者候補に株式の買取資金がない、個人保証の引き継ぎが難しいといった資金面での課題が生じやすい点がデメリットです。
 

第三者承継(M&A)

第三者承継(M&A)は、親族や社内に後継者がいない場合に、社外の企業や個人に事業を譲渡する方法です。近年、後継者不在問題を解決する有効な手段として増加しています。譲渡により創業者利益を確保でき、会社のさらなる成長が期待できる点が大きなメリットです。ただし、希望する条件に合う譲渡先を見つけるのに時間がかかることや、従業員の処遇など、統合プロセスに注意が必要です。
 

事業承継の主な相談先と支援内容

事業承継やM&Aに関する相談や支援を実施している民間・国営機関があるのをご存知でしょうか? このような機関を活用すると、具体的にどのような支援を受けられるかを紹介します。

①相談支援

事業承継を検討する際に、経営者が不安に思う事柄に関して無料で相談できます。例えば、下記のとおりです。

  • M&Aを実施する際、自社の評価
  • M&Aをどのように進めていけばいいのか  
  • M&Aの手続き方法

また、M&Aだけでなく、親族承継、役員承継などの事業承継手法を活用する場合も相談可能で、各手法のメリットやデメリットも説明してくれます。

②診断支援

事業承継を実施すべきかについての診断を無料で行う支援もあります。具体的には、下記のとおりです。

  • M&A活用は有効か 
  • 利益が見込めるか 

経営者からのヒアリングや豊富にある過去の事例を基に診断することで、事業承継を実施する際に、セカンドオピオンとして支援を活用できます。

③紹介支援

会社の譲渡先が見つからない場合、中小機構による譲渡先候補を紹介してもらう支援もあります。中小機構は全国の都道府県の支援センターと連携しているので、都内だけでなく地方からも相談可能です。

※関連記事
M&Aの相談先の選び方とは?買い手・売り手の相談内容や注意点を解説

中小機構による事業承継支援マニュアル

事業承継を行う際には、中小機構が公開している事業承継支援マニュアルを読んでおくことがおすすめです。

事業承継支援マニュアルは、事業承継に関するさまざまな情報が記載されたマニュアルであり、事業承継のやり方や昨今の傾向、具体的な事例などを学ぶことができます。

「事業承継がよくわからない」、「どんな手法があるか知りたい」という人にとって、事業承継支援マニュアルは非常に役に立つものです。

また、経営者が考えている事業承継のプランごとに、具体的な対策や注意点が記載されているため、事業承継の計画を立てる際にも活用することができます。

事業承継支援マニュアルの末尾には、ヒアリングシートやマッチング用の申込書、契約書のサンプルなどがあるため、事業承継支援を受ける際にも使用可能です。

そして、事業承継支援マニュアルは、インターネット上で無料公開されているためいつでも読めます。

事業承継支援マニュアルは定期的に改訂され、最新の情報やデータが反映されています。事業承継を具体的に進める前に、中小企業庁の公式ウェブサイトから最新版をダウンロードし、内容を熟読しておくことをおすすめします。

専門家による事業承継コンサルティングの種類

事業承継で生じる諸問題については、各種専門家がコンサルティング支援を実施しています。

①財務・税務・法務面

相続税対策や財務分野での支援、労務や法務に関するリスクを最小限に抑えるためのコンサルティング支援については、主に税理士や会計士の担当です。

②経営・運営面

後継者に対し、事業承継後の経営戦略や営業、マーケティングのコンサルティング支援を提供するサービスもあります。後継者の経営能力に不安がある場合、こうした支援を活用すると良いでしょう。

③IT・業務面

社内のIT化や生産現場の業務効率化に関して、コンサルティング支援を実施するコンサル会社もあります。この支援を活用すれば、事業承継後にスムーズに運営できるメリットがあります。

コンサルティングの種類ごとに、必要な期間も支援内容も変わってきます。そのため、自社にとって必要な支援内容を検討し、必要な部分のみを活用しましょう。 

事業承継に関してお悩みの際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。知識・経験豊富なアドバイザーが担当につき、フルサポートいたします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)

無料相談をお受けしておりますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。

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事業承継コンサルとは?報酬相場やランキングをご紹介!

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後継者の育成支援

後継者の育成を主眼とおいた支援サービスもあります。 例えば、事業承継センターが提供している後継者塾やセミナーです。 後継者塾とは、後継者に経営に必要なノウハウや知識を、身につけさせることを主眼に置いたものです。

座学だけでなく、ワークショップなどを通した実践的なプログラムで、経営者としての能力向上を行います。 提供されているセミナーでは、全国各地で経営者や後継者向けのものです。

また、後継者としてふさわしい能力が備わっていないケースも考えられます。 その場合、後継者育成プログラムの支援を利用すると良いでしょう。現時点で後継者不足でお悩みの方は、後継者育成に関する支援を受けるのも一つの手です。 

その他にも後継者を斡旋してくれる機関もあります。自社の後継者事情に合ったサービスを選ぶと良いでしょう。

事業承継の支援者に求められる専門性と資格

事業承継の支援者やコンサルタントの方には、高い専門的な知識が必要です。プロフェッショナルな事業承継支援者への第一歩として、事業承継士という資格があります。 

現時点で事業承継士は民間資格ですが、将来的には公的な資格へと拡大する可能性がある資格です。資格取得に向け、講座も開催されており、内容も実際に現場で使用する書類や文書を使用し、実際の事業承継の事例を勉強できます。

事業承継にはさまざまなケースがあるので、支援者は自分なりの解決方法を導き出す必要があります。そのために、専門的な知識だけでなく、アウトプットも兼ねた日々の努力が欠かせません。

【2024年最新】M&Aでも活用できる事業承継・引継ぎ補助金

事業承継やM&Aを検討する際にぜひ活用したいのが、国が実施する「事業承継・引継ぎ補助金」です。これは、事業承継を契機とした中小企業の新たな取り組みや、M&Aによる事業再編・統合にかかる経費の一部を補助する制度です。

2024年度(令和6年度)も公募が実施されており、事業承継の類型に応じて主に3つの申請類型が設けられています。

  1. 経営革新類型:事業承継を機に、事業内容の革新や新分野への挑戦を行う際の設備投資や販路開拓費用などを補助します。補助上限額は最大800万円(補助率1/2または2/3)です。
  2. 専門家活用類型:M&Aを含む事業承継の過程で、M&A仲介会社や士業などの専門家に支払う手数料(着手金、成功報酬など)を補助します。補助上限額は最大800万円(補助率1/2または2/3)です。
  3. 廃業・再チャレンジ類型:事業承継に伴い、既存事業を廃業する際の費用や、再チャレンジを目指す経営者の取り組みを支援します。


公募期間や要件の詳細は毎年更新されるため、活用を検討する際は中小企業庁や事業承継・引継ぎ補助金事務局の公式サイトで最新情報を必ず確認してください。

事業承継にかかる費用と活用できる国の支援策

事業承継に関する相談・診断は無料の場合が大半です。しかし、財務や法律などに関する専門家を活用した場合には料金がかかります。その料金は支援内容によって異なります。

事業承継を実施する際には、仲介会社や税理士などの専門家に支払う手数料などで出費が多いです。そこで、国はさまざまな支援策を実施していますので、簡単にいくつか紹介します。

  • 税制措置 (一定の条件を満たした中小企業の後継者が事業承継を実施する際に、相続税、贈与税または所得税の特例措置を受けられる)
  • 事業承継支援資金 (経済産業大臣の認定を受ければ、日本政策金融公庫等からの低利融資を活用できる)
  • 事業継続ファンド(後継者不在等の事業承継問題を抱えている中小企業が、ファンドによる資金供給や販路拡大等の支援を受けられる)

※関連記事
事業承継税制とは?事業承継税制の要件やメリット・デメリットを解説
事業承継の費用・手数料まとめ!税制や補助金はある?【弁護士/コンサル】

事業承継支援を有効活用するための2つの注意点

事業承継支援を活用する際、注意点を踏まえておく必要があります。最近では、事業承継を支援する制度は整っており、サポートしてくれる専門家も多いです。しかし、以下のような注意点を把握しておかないと、速やかに事業承継が遂行できない可能性があります。

①経営者自身の意思

1つ目の注意点は、経営者自身の意思がはっきりしているかどうかです。経営者がちゃんとビジョンを持って取り組まなければ、事業承継はできません。

よくあるケースとしては経営者の高齢化が進みすぎてしまい、体調不良によって正常な判断能力を失っているため、事業承継が進まないというパターンです。

これは相続にもいえることですが、事業承継は経営者の意思が重要であるため、意思確認ができなければ、後継者を選ぶこともM&Aを行うことも決定できません。

そのため、事業承継を行う際には、経営者が引退するタイミングを見据え、なるべく健康で正常な判断能力を持っているうちに実行しましょう。

②計画性

事業承継を成功させるには、綿密な計画が不可欠です。後継者の選定・育成から、自社株や事業用資産の承継、相続対策まで、取り組むべき課題は多岐にわたります。

全てのプロセスを完了させるには長ければ10年近くかかることもあるなど、事業承継はかなりの長期戦を強いられることもあります。そのため、事業承継は計画性を持って進めておく必要があります。

まとめ

事業承継の支援には、公的機関による無料相談から専門家によるコンサルティングまで多岐にわたります。後継者問題やM&Aを検討する際は、自社の状況に合わせて適切な支援を活用することが成功の鍵です。本記事で解説した補助金や相談先を参考に、早期の計画着手をおすすめします。

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