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2019年12月6日更新
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交付金合併とは?意味や仕訳、税務を解説

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

交付金合併を実施することで、柔軟なM&Aを実現できる一方で、注意も必要です。M&Aの目的、自社の状況を踏まえた上で、合併か交付金合併かを選択する必要があります。メリット・デメリットを把握した上で、活用しましょう。

目次
  1. 交付金合併
  2. 合併とは?合併の意味
  3. 交付金合併とは?交付金合併の意味
  4. 交付金合併のメリット・デメリット
  5. 交付金合併の会社法上の手続き
  6. 交付金合併の仕訳
  7. 交付金合併の税務(税金)
  8. まとめ

交付金合併

M&A手法の一つである合併は、事業規模の拡大やグループ内再編等様々な目的で活用されます。
M&A件数の高まりやニーズの高まりを受けて、平成19年の会社法改正により「合併対価の柔軟化」が認められる様になりました。
合併対価の柔軟化に伴い、平成19年からは「交付金合併」や「三角合併」の実施が可能となっています。
この記事では、「交付金合併」に関して詳しく解説します。
交付金合併について興味のある方必見です。

合併とは?合併の意味

交付金合併について解説する前に、まずは「合併」がどの様な手法であるかをおさらいしましょう。
合併とは、複数の企業が一つに統合されるM&A手法であり、あらゆる手法の中で唯一いずれかの企業の法人格が消滅する特徴があります。
合併は、「吸収合併」と「新設合併」の2種類に大別されます。
前者は片方の会社をもう片方の会社に吸収させる合併、後者は全ての法人を消滅させた上で、その権利や義務等を新設した会社に承継する合併です。
後述する交付金合併は、「吸収合併」に含まれる手法となります。
グループ再編や事業シナジー獲得を主な目的とする合併は、M&Aの規模が比較的大規模となりやすいです。
債権者や株主等に与える影響が大きい為、特別決議や債権者保護手続き等が原則必要となります。
合併では、当事会社の社員にも影響を与えます。
消滅する会社側の社員の雇用契約は、自動的に存続会社に引き継がれます。
従来よりも待遇が下がったり、従業員の間に軋轢が生じる恐れがあります。
上記の要因により、従業員のモチベーション低下や離職が生じる可能性があります。
合併の実行に際しては、社員の取り扱いについて十分に気をつけなくてはいけません。
適用される税制にも違いがあり、株式譲渡や事業譲渡を用いた買収とは全く異なる手法です。
合併によるM&Aを実施する際は、合併に関する知識を事前に心得ておく事が重要です。
また、合併は買い手と売り手の相性が非常に重要です。
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※関連記事
合併と買収の違いとは?メリット・デメリットや注意点を解説

交付金合併とは?交付金合併の意味

合併に関して基本的な知識を踏まえたところで、交付金合併について解説します。
交付金合併とは、消滅会社の株主に交付する対価を、株式ではなく金銭として行う吸収合併です。
合併の対価として支払う金銭は、「合併交付金」と呼ばれます。
「交付金合併」と「合併交付金」は、似ているものの意味合いが異なるので注意しましょう。
交付金を支払うケースの中でも、全ての対価を金銭とする吸収合併を特に「交付金合併」と呼びます。
「キャッシュアウトマージャー」とも呼ばれる交付金合併は、平成19年の会社法改正により実行が認められる様になりました。
制度自体の歴史が浅い為、M&Aの専門家でない限り交付金合併について詳しく知らない事が普通です。
基本的に合併を含め組織再編行為は、対価を株式とするケースが一般的です。
近年は純粋な組織再編のみならず、様々な場面や目的で合併を実行するケースが増加しています。
そうした事情を踏まえて、会社法にて交付金合併(キャッシュアウトマージャー)が認可された訳です。
交付金合併を実施すれば、通常の合併では成し遂げる事が出来ないことも可能となります。
柔軟なM&Aを実現できる一方で、いくつか留意すべき問題点も存在します。
M&Aの目的や自社の状況を踏まえた上で、通常の合併か交付金合併かを選択する必要があります。
次項では、交付金合併の実行可否を決める上で重要なメリットとデメリットをご紹介します。
※関連記事
合併の種類

交付金合併のメリット・デメリット

この項では、交付金合併のメリットとデメリットをそれぞれご紹介します。
メリットとデメリットを踏まえた上で、交付金合併を活用するか否かを決定しましょう。

⑴交付金合併のメリット

交付金合併には、主に下記二つのメリットがあります。

①存続会社の株主の持ち株比率を維持できる

対価を株式とする合併では、消滅会社側の株主に存続会社の株式が交付される為、存続会社における各株主の持ち株比率が変動します。
持ち株比率の変動により、既存株主の利益が損なわれる恐れがあります。
一方で交付金合併では金銭が対価として交付される為、存続会社株主の持ち株比率に変動が生じません。
既存株主の持ち株比率(利益)を維持できる点は、交付金合併の大きなメリットです。

②消滅会社の少数株主を排除できる

交付金合併のもう一つのメリットは、消滅会社の少数株主を排除できる点です。
対価を株式とする場合、少数株主には存続会社の株式が交付される為、引き続き株主として残る事となります。
存続会社にとって都合の悪い株主である場合、引き続き株主として残る事は好ましくありません。
交付金合併を実施すれば、少数株主に対して金銭を交付する為、株主の権利を失わせる事が可能です。
つまり交付金合併により、都合の悪い存在である少数株主を排除出来る訳です。
現に少数株主を排除する目的で、交付金合併を実施するケースもあります。
少数株主の排除も、魅力的な交付金合併のメリットです。

⑵交付金合併のデメリット

「持ち株比率の維持」や「少数株主の排除」等交付金合併には魅力的なメリットがある一方で、致命的なデメリットが存在します。
交付金合併の致命的なデメリットとは、「非適格合併」となる点です。
合併には組織再編税制が適用され、適格合併か非適格合併かによって、発生する税金に違いがあります。
グループ内再編を目的とする場合は適格合併とするケースが一般的であり、適格合併であれば非課税でM&Aを実施可能です。
一方で交付金合併は適格要件を満たさない「非適格合併」となる為、M&Aの際に税金が発生します。
本来であれば非課税で実行できる合併で課税される点は、交付金合併の大きなデメリットです。
「1株未満の端数に交付する金銭」等に該当すれば、例外的に適格合併となるケースもあります。
適格合併にするかどうかは合併のスキームをどうやって調整するかが重要だといえます。
その際にはM&A総合研究所にご相談ください。
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※関連記事
合併のメリット

交付金合併の会社法上の手続き

交付金合併の手続きに関しては、会社法で定められています。
この項では、会社法で定められた交付金合併の手続きについて解説します。
※基本的には吸収合併の手続きと同様です。

⑴交付金合併の契約締結

まず初めに、交付金合併の当事会社間で合併契約を締結します。
合併契約には、交付金合併の効力が生じる日付や対価の支払い方法や金額を盛り込みます。
締結した合併契約を基に、M&Aを実行する事となります。

⑵合併の承認決議

当事会社間で契約を締結したら、各会社の業務執行機関(株主総会or取締役会)にて合併の実行を承認します。
交付金合併を実行する為には、株主総会の中でも「特別決議」が必要となります。
普通決議よりも決議要件が厳しい為、株主からの理解を事前に得ておくことも一つの手です。
簡易合併もしくは略式合併である場合は、株主総会の手続きを省略可能です。

⑶株主・債権者の保護手続き

原則交付金合併では、株主や債権者の利益を保護する手続きが必要です。
株主に対しては、合併効力発生日の20日前までに、交付金合併を実行する旨、並びに存続会社の商号と住所を事前に通知する必要があります。
交付金合併に反対する株主に対しては、株式の買取請求に応じる義務も担います。
債権者に対しては、効力発生の一ヶ月前までに、「官報による公告」と「知れている債権者への個別催告」を実行する必要があります。
期間内に債権者から異議申し立てが行われた際は、弁済や担保の提供等を施さなくてはいけません。

⑷クロージング

交付金合併の効力発生日までに、消滅会社が保有する資産や権利等を存続会社に移転します。
権利や資産等の移転と同時に、存続会社側は消滅会社の株主に対して対価の金銭を交付します。

⑸交付金合併後の手続き

クロージングが完了しても、交付金合併の手続きは残っています。
効力発生日から二週間以内に、消滅会社では解散登記、存続会社では変更登記を実施する必要があります。
登記手続きと併せて、書類の事後備置手続きも必要です。
書類の事後備置きとは、交付金合併に関する事項を記した書類を6ヶ月間本店に備え置く手続きです。
上記の手続き実施により、交付金合併は完了します。
※関連記事
合併の手続きについて解説します

交付金合併の仕訳

この項では、交付金合併の仕訳について解説します。
交付金合併で対価として支払う金銭に関しては、基本的に「現金」という勘定科目を用いて仕訳を行います。
存続会社側から見ると合併交付金の支払いは、資産である現金の減少を指します。
つまり支払う交付金の金額を、資産の減少として貸方に仕訳します。
※関連記事
合併と仕訳

交付金合併の税務(税金)

最後に、交付金合併の税務(税金)について解説します。
前述通り交付金合併は、原則非適格合併となり、株式譲渡益に課税されます。
では何故、交付金合併は非適格合併となるのでしょうか?
適格合併となる為には、様々な適格要件を満たす必要があります。
合併する当事会社間の関係により、クリアすべき適格要件は異なります。
主な適格要件には、「従業員の引き継ぎ」や「主要事業の引き継ぎ」、「株式の継続保有」等が存在します。
完全支配関係(100%の株式保有)にある会社間での合併が、最もクリアすべき
適格要件が少ない(難易度が低い)です。
一方で共同事業関係にある会社間での合併では、複雑かつ多数の適格要件を満たす必要があります。
上記の通り合併の種類により満たすべき適格要件は異なりますが、いずれのケースでも必ず満たすべき適格要件があります。
それは「金銭不交付要件」です。
適格合併となる為には、合併の対価が金銭であってはいけません。
交付金合併は全ての対価が金銭となる為、必然的に「金銭不交付要件」をクリアできません。
つまり交付金合併を実施する以上、税務上の不利を被る事は覚悟しなくてはいけません。
どうしても非課税で合併を実施したい場合には、自社株式を対価として交付する必要があります。
交付金合併のメリットと適格合併のメリットは、トレードオフの関係にある為、事前によく検討しましょう。
※関連記事
適格組織再編とは?適格要件と適格組織再編の種類

まとめ

交付金合併を実施することで、柔軟なM&Aを実現できる一方で、注意も必要です。
M&Aの目的、自社の状況を踏まえた上で、合併か交付金合併かを選択する必要があります。
メリット・デメリットを把握した上で、活用しましょう。

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