M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2022年6月6日更新会社・事業を売る
海外進出の課題とは?方法や手順、クロスボーダーM&Aを活用した海外進出
海外進出するには課題が多く、進出計画策定や現地調査などが必要なこととして挙げられます。しかし海外進出に成功すれば、新市場を獲得して、会社のさらなる発展などが期待できます。海外進出方法・クロスボーダーM&Aによる海外進出・メリットやデメリットなどを解説します。
目次
日本企業の海外進出は増加傾向にある
近年は、日本企業による海外進出事例が増えています。海外進出というと大企業が行うイメージがありますが、最近では中小企業も積極的に海外進出を実施しているのです。海外進出に成功すれば、国外への販路拡大や新規事業の開拓が期待できるため、会社の成長を大きく促進することができます。
たとえば新興国が多い東南アジアでは、人口増加が続いている地域が多く存在します。これらの地域では経済発展も伴っているため、消費購買力が向上しているのです。自社製品・サービスの販路拡大を理由に、こうした新興国に狙いを定めて海外進出して、売り上げ向上を実現した中小企業も多く存在します。
ところが海外進出には課題も多く、適切な知識を踏まえて実施しないと失敗する可能性が高いです。この記事では、海外進出における課題・海外進出の方法や手順・海外進出の失敗事例や成功要因・海外進出のメリットやデメリットなどを幅広く解説します。
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海外進出における課題とは
海外進出は国外市場に活路を見出す戦略であるため、国内におけるものとは異なる課題に直面することが多いです。海外進出における課題は、以下のとおりです。
- 言語の違い
- 法慣習・商習慣の違い
- 販売先の確保
- マーケット・ニーズの把握
- 採算性の維持
それぞれの課題を順番に見ていきます。
①言語の違い
海外進出における最も基本的かつ重大な課題は、言語の違いです。海外において日本語で問題なくコミュニケーションが取れる国はゼロに近いです。アジアやアフリカの新興国に海外進出する場合には、英語すら通じないことも充分にあり得ます。
海外進出を実施するときは、現地の言語を習得している人材を確保できていないと様々な障害に直面します。たとえば、支社の設立・書類の作成もままならず、現地で雇った従業員と充分にコミュニケーションを取ることもできません。
少なくとも、現地に派遣する従業員には現地の言語をマスターさせておくことが求められます。
②法慣習・商習慣の違い
法慣習・商慣習の違いも、海外で会社を経営していく上で直面することの多い課題です。どのような国を海外進出先に選んだとしても、法制度やビジネスの慣習などは日本のものとは大きく異なっています。
もしも税務・法務の習慣や手続きの仕様など経営に直接関係する慣習が異なっていれば、日本で実施していた方法を根本的に変える必要性が生まれます。このとき現地の事情に精通したコーディネーターなどから協力を得つつ入念にブリーフィング(打ち合わせ)を実施して、現地の慣習を学ぶことになります。
なお国際的な税務・法務知識に長けた税理士・弁護士などの専門家に協力を依頼すれば、海外言語に応じた書類作成を円滑に済ませることもできます。
③販売先の確保
販売先の確保についても、海外進出した国・地域において難しい課題です。販売先が確保できなければ、会社の商品・サービスを現地に提供できず、海外進出に失敗する原因となります。販売先がない場合には、はじめに業種・業態ごとに業者をあたって、販売先の確保を優先的に実施することが大切です。
日本企業との取引が少ない国に海外進出する場合、業者のリストが存在しないケースもあり得ます。そうなれば、業者を探すだけでも多くの手間や時間が発生します。販売先を確保するときは、現地の協力者や海外進出の支援に長けた経営コンサルティング会社などの専門家から協力を得ることが大切です。
④マーケット・ニーズの把握
海外進出するときは、現地におけるマーケット・ニーズの把握も重要課題です。「自社が提供するサービス・商品が現地のマーケット・ニーズに適しているのか」を把握していないと、海外進出の実施判断そのものが困難となります。
そのため実際に海外進出を検討したら、あらかじめ現地のマーケット・ニーズを念入りに把握しておくことが必要です。とはいえ、現地におけるマーケット・ニーズを適切に把握することは、決して簡単ではありません。島国という性質上、日本企業には海外マーケットやニーズと距離がある課題があるのです。
つまり日本企業は、もともと現地の状況や情報をつかみにくい環境に置かれています。現地のマーケット・ニーズを調べるときは、進出予定国の調査を専門に手掛ける会社に依頼すると良いです。経済発展国であれば現地に人員を送り込んで調査してもらえるため、より実質的な情報を入手できます。
⑤採算性の維持
実際に海外進出を果たした後は、海外拠点における採算性の維持が重要な課題となります。たとえ経営が順調にいっていたとしても、現地の法律・規制・税制などが変われば経営に影響が生じることが多いです。もしも発展途上国に海外進出していれば、情勢変化・治安悪化・災害なども経営に影響を与えます。
最悪の場合には、事業が停滞して経営が成り立たなくなることもあり得ます。採算性の維持について考慮するときは、こうしたリスクが顕在化するよりも早い事前の対処が重要といえます。そのため海外進出を実施する前から、進出する国・地域でいかなるリスクが考えられるか洗い出しておくことが大切です。
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海外進出とクロスボーダーM&A
近年では、海外企業とクロスボーダーM&Aを実施して海外進出するケースも増えています。クロスボーダーM&Aとは、海外企業を対象に実施するM&Aのことであり、海外進出における拠点・販売先・製造ライン・従業員などをまとめて獲得できます。
クロスボーダーM&Aを活用して海外進出するメリットをまとめると、以下のとおりです。
- 海外進出における多くの課題を解決できる
- スムーズな海外進出につなげられる
- ゼロベースから海外進出の準備をする手間や時間を省略できる
クロスボーダーM&Aによる海外進出には課題もある
クロスボーダーM&Aには、満足できるだけのシナジー効果の獲得が難しいという課題もあります。言語・法慣習・商慣習などの違いがM&A交渉の障害となるだけでなく、M&Aが成約したとしても人材の数や素質が不十分であれば、ガバナンスが上手く機能せずに円滑な経営統合の妨げとなります。
また国内・海外問わずM&Aでは、企業理念・風土・価値観の違いで経営統合が上手くいかずに、従業員の流出を招いてしまうケースも多いです。
国や文化が異なる者どうしで実施するクロスボーダーM&Aであれば、根本的な経営哲学の差異によって、M&A成否に大きな影響を与える可能性も十分にあります。
こうしたリスクを避けるためにも、実施を検討したら多くのクロスボーダーM&A案件を手掛けてきた専門家に協力を仰ぐのがおすすめです。
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海外進出する方法・手順の流れ
海外進出する方法については、会社単体で行う場合もあれば前述したクロスボーダーM&Aを活用する場合もあり、会社の事情に合わせて多種多様な方法が採用されます。海外進出における課題も踏まえた上で、海外進出する方法・手順のスタンダートな流れは以下のとおりです。
- 海外進出の目的を明確化させる
- 海外進出する国を選択する
- 海外進出計画を策定する
- 予備調査・現地調査を実施する
- 最終決定・海外進出を果たす
それぞれの流れを順番に見ていきます。
①海外進出の目的を明確化させる
海外進出を検討したら、はじめに目的を明確化する必要があります。海外進出はリスクを伴う経営戦略であり、むやみに乗り出せばかえって会社に悪影響をもたらすおそれもあります。そのため以下にまとめた観点を中心に整理・分析することで、海外進出の目的を充分に固めることが大切です。
- 海外進出を行う必要性
- 海外進出以外の選択肢
- 海外進出できるだけの準備を整えられるのか
- 自社における海外進出の課題
②進出先国を選択する
目的を明確化した後は、海外進出する国を選択します。検討するときは、海外進出させる事業の内容と、市場や環境などが最適な国を基準にして選ぶことがポイントです。それにくわえて、文化・習慣・宗教・治安など様々な面からも、自社の海外進出に最適であるのか検討しておくことが大切です。
このとき、現地パートナーや経営コンサルティング会社などの専門家に協力を求めれば、海外進出する国をスムーズに選び取ることができます。国を選択した後は、国の文化を細かく学んでおくことをおすすめします。
③海外進出計画を策定する
このプロセスでは、海外進出を実施するときの計画を策定します。以下のような項目に沿って検討しながら、具体的な計画を策定していきます。
- どのような事業を展開するのか
- どのように従業員を確保するのか
- どのように資金を調達するのか
この段階では、万が一に備えて撤退するときの計画も決めておくことをおすすめします。海外進出は前進だけでなく、ときには撤退せざるを得ない状況に直面するケースも少なくありません。スムーズに撤退できるように計画を策定しておき、いざというときに対処できるようにしておくことが大切です。
④予備調査・現地調査を実施する
進出計画を策定してからは、予備調査・現地調査を実施することで計画の実現性を検証していきます。それぞれ予備調査は国内において、現地調査は進出予定国において実施されます。予備調査では、国内から得られる情報をもとに計画の実現性を精査します。
そして現地の政治・経済・社会情勢などの情報収集や、ビザの手配・現地コーディネーターの雇用などもここで実施します。その一方で現地調査では、実際に現地に赴いて、現地コーディネーターとともに予備調査での精査内容を実際の現状とすり合わせていきます。
海外進出を実施するならば、あらかじめ現地の雰囲気を体感しておくことが大切です。現地を実際に視察して、パートナーや取引先と直接対面してコミュニケーションをとることで、親密な協調関係が構築できます。また国内での調査では得られない情報や気づかなかった事柄を発見することも可能です。
⑤最終決定・海外進出を果たす
入念な調査が完了したら、最後のすり合わせを実施した上で、海外進出計画の最終的な決定を下します。これにより、いよいよ海外進出が果たされることになります。もしも進出した後で計画に変更点が見つかったときには、再び計画を見直して柔軟に軌道修正することも大切です。
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海外進出の失敗事例・成功要因
ここでは海外進出の失敗事例から学ぶ成功要因を紹介します。海外進出における代表的な失敗事例と、そこから学べる成功の要因は、以下のとおりです。
- 国内の経営感覚で進出してしまう
- 現地での人材選任に失敗してしまう
- 資金調達に失敗してしまう
それぞれの事例を順番に見ていきます。
①国内での経営感覚で進出してしまう
海外進出でよくある失敗として、国内の経営感覚で海外進出して、習慣・規制の違いで予期せぬトラブルにあったり余計な負担を背負ってしまうことで、海外進出拠点の経営が滞るケースが挙げられます。海外に進出するときは、「日本における常識は通じない」という気持ちで挑むことが大切です。
この失敗からは、現地の習慣・文化・規制・法律・税制などの充分な把握が、海外進出を成功させる要素であることがわかります。
②現地での人材選任に失敗してしまう
海外進出に失敗する事例としては、現地で実際に現場を管理する人材の選任ミスも多く挙げられます。言語能力不足・現地事情の不通は、海外拠点を管理する上で致命的なトラブルを招きかねません。現地の管理を任せる人材は、言語能力や現地の知識を吟味した上で選ぶことが大切です。
③資金調達に失敗してしまう
海外進出を実施する場合、現地での資金調達は決して容易ではありません。海外拠点の資金については、現地の景気に左右されるだけでなく、現地の規制という壁に直面するケースもあります。たとえば、国によって日系の金融機関からの借り入れに制限が課せられていることがあるのです。
したがって「いかに本社(日本)から資金を調達するのか」も、海外進出成功の秘訣だといえます。
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海外進出を支援する補助金
海外進出を実施する資金を調達するときは、補助金を利用する選択肢もあります。最近では中小企業を対象に、海外進出を支援する補助金が多く設定されています。代表的な補助金は、以下のとおりです。
- 海外ビジネス戦略推進支援事業:輸出型(中小企業庁)
- 海外ビジネス戦略推進支援事業:拠点設立型(中小企業庁)
- 中小企業等海外出願・侵害対策支援事業費補助金(経済産業省)
補助金は返済不要であるため、資金調達の上で大きなメリットとなります。国だけでなく自治体でも補助金を設置しているケースがあるため、自治体に問い合わせてみるのも良いです。ただし補助金は、応募期間が決まっている上に審査もあるため、確実に獲得できるとは限りません。
補助金への応募を検討したら、応募期間を把握した上で、審査を通過するために入念に準備することが大切です。最近では、補助金の獲得を直接的にサポートする経営コンサルティング会社や税理士法人なども存在しており、こうした機関の協力を得ることで補助金が得られる可能性が高まります。
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海外進出のメリット・デメリット
最後に海外進出で生じるメリット・デメリットをまとめて紹介していきます。
①海外進出のメリット
海外進出のメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 国外への販路を開拓できる
- 新事業開発や新たな事業分野に進出できる
- 人件費や税金など経営コストを削減できる
海外進出は、飽和しつつある国内市場から脱却する上で非常に有益な戦略です。新興国など未開拓の市場を開拓することができれば、その地域の市場を独占できる可能性がある上に、地域の特性を生かした新事業を打ち出せるメリットも期待できます。
国の税制によっては会社にとって優位に働くこと場合もあり、経営にかかる費用削減につながります。
②海外進出のデメリット
海外進出には以下のようなデメリットも存在するため、あらかじめ把握しておく必要があります。
- カルチャーギャップが経営の障害になるおそれがある
- 為替レートの変動で不利益を被る可能性がある
- 政治・経済情勢などの変化で撤退を余儀なくされることがある
- 海外進出するときに多くの手間や時間がかかる
海外進出では、国ごとの文化・習慣の差異が支障となる可能性が高く、政治的リスクや多くの手間や時間がかかる点も考慮して、充分な対応策を講じなければなりません。またキャピタルロスによって予期せぬ損失を被ってしまうおそれもあるため、為替レートの変動も忘れてはならない留意点といえます。
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まとめ
海外進出には、対処すべき課題が多く、入念な進出計画の策定や現地調査などが必要となります。日本の常識が全く通じない可能性を念頭に置かなければならず、生半可な気持ちで臨むべきではありません。
しかし海外進出が成功すれば、新たな市場を獲得して、会社がさらに発展する可能性があります。もしも現在の国内市場に行き詰まりを感じているのであれば、ぜひとも挑戦するべき戦略だといえます。
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