2021年5月5日更新資金調達

法人・個人の銀行借り入れの審査や条件を解説します

銀行借り入れは、会社経営の生命線とも言えるものです。借り入れには、どれだけ綿密な経営計画を立てているか、返済ができる根拠があるかなど、具体的な数字も添えて明確に示す必要があります。銀行借り入れの流れ、審査、条件、金利や必要書類をご紹介します。

目次
  1. 銀行借り入れとは?
  2. 銀行借り入れの流れ
  3. 銀行借り入れの審査と条件
  4. 銀行借り入れの金利
  5. 銀行借入で必要な書類
  6. 融資を受けるための準備と方法
  7. まとめ
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銀行借り入れとは?

「銀行借り入れ」とは、文字通り銀行からお金を借りることを指します。これは一般的に「融資」と呼ばれるものです。主に、新規事業の立ち上げやM&Aなどを行う際に、資金調達という目的で利用されます。

銀行借り入れは、法人や個人が資金を調達する際に有効的な手段です。新規事業の立ち上げやM&Aにおいても、とても重要な手段となります。

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銀行借り入れの定義

銀行借り入れは、会社の経営の生命線になっているといっても過言ではないでしょう。銀行借り入れは法人や個人事業主が行うものであり、会社の運営資金にあてられることがほとんどです。

内容については後述しますが、銀行借り入れを受ける際には審査があり、それをクリアしなければ受けられません。銀行借り入れは、銀行が認めた法人・個人事業主のみが受けられるものです。ただ「お金が欲しい」という理由で受けられるものではありません。

また、銀行借り入れは借金であり、返済義務があります。経営計画を立てていない経営者だと判断されれば、銀行借り入れは難しくなります。さらに、創業したばかりや実績や社会的信頼が低い会社は特に、審査を通過できない可能性があります。

銀行借り入れを受けることができても、返済が滞っているようであれば、融資が打ち切りになってしまうことがあります。十分な準備と、返済の際の注意が必要です。

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借り入れとM&A

LBO(レバレッジド・バイアウト)のように、M&Aを行う際に銀行借り入れを受けるケースもあります。この場合、一般的な銀行借り入れとは異なるプロセスになりますが、借り入れを受けられるかを定める基準は共通している一面があります。

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銀行借り入れの流れ

銀行借り入れの流れは大まかに、3つのステップで行われます。

  1. 申し込み
  2. 審査
  3. 銀行借り入れの実施
それぞれを詳しく見ていきましょう。

①申し込み

銀行借り入れの申し込みは2種類あります。

  • 銀行の営業担当を通じた申し込み
  • 銀行にある融資相談窓口による申し込み

どちらのルートの方が有利ということは、ほとんどありません。ただ、銀行の営業担当を通じて申し込むことで、会社の雰囲気や事業への取り組みを見てもらえます。そのため、自分の会社を印象付けやすいというメリットがあります。

また、銀行によってサービスの内容が異なります。銀行借り入れを行う際には、各銀行のサービス内容を調べて、よく検討するようにしましょう。

②審査

銀行借り入れの成否を占う最も重要なプロセスが審査です。審査とは、文字通りその法人・個人事業主に融資をすべきか銀行が検討することをいいます。

申し込み方法によって審査に関わる担当者は変わりますが、基本的にどちらで申し込んだ場合でも、設けられた審査基準に照らして「融資を行うべきかどうか」を検討していきます。審査基準は銀行によって異なっており、担保の有無や保証人の数などによっても審査結果が変わります。

③銀行借り入れの実施

無事に審査を通過すると、銀行借り入れが行われます。その際には、銀行と融資の契約を結ぶことになっており、同じ内容の契約書を2つ記入して銀行と融資先それぞれで保存します。

契約を結ぶことで銀行借り入れが始まるわけですが、油断はしないようにしておきましょう。銀行借り入れが始まった後、早ければ1ヶ月後からは返済が始まるのです。返済は、返済期日を守って行う必要があります。

もし返済が滞るようなことになれば、信用が低下し、最悪の場合には銀行借り入れが打ち切られてしまう恐れもあります。十分注意して、銀行借り入れを利用しましょう。

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銀行借り入れの審査と条件

銀行借り入れを行う際に、審査はとても重要なものです。審査を通過できるかどうかで、融資を受けられるかどうかが決まります。ここでは、審査に関して2つの点をご紹介します。

  1. 審査の内容
  2. 審査に通過するためのポイント
それぞれを詳しく見ていきましょう。

①審査の内容

銀行借り入れの審査は、ローンのような定型基準がなく、銀行によって審査基準が異なります。そのため、「どのような条件で審査を通過できるか」は銀行次第になります。

審査の過程では、銀行から経営者に対し、審査に必要な質問を何度もされます。それだけでなく、情報が足りないと判断された場合には、追加資料を要求されることもあります。また、審査の際に重視する2つのポイントがあります。

  • 格付け
  • ノンバンクを使用しているかどうか

ここでは審査の際に重視される2つのポイントをご紹介します。

格付け

銀行は銀行借り入れを望む法人や個人事業主の会社・事業を、内情によって格付けしています。そして、その格付けが銀行借り入れの審査に影響を与えているのです。

  • 正常先
  • 要注意先
  • 要管理先
  • 破綻懸念先
  • 実質破綻先
  • 破綻先

6つの中で、いずれかの格付けに該当しているのです。ただ、担当者には守秘義務があるため、実際にどの格付けに該当しているかはわかりません。審査を行う際、正常先の格付けがされていれば、基本的に通過できると考えてもいいでしょう。

しかし、要注意先以下となると、担当者は一気に慎重になります。格付けが下がるほど、銀行借り入れを実現することは難しくなるのです。

とりわけ、3期連続で赤字を計上していたり、債務超過に陥っていたりするような会社だと、格付けがかなり低くなってしまいます。その場合には、銀行借り入れは出来ない可能性が高くなります。

銀行借り入れは経営に役立てるための資金を提供するものであり、決して借金を返すためのものではありません。この点については、充分に理解しておいた方がいいでしょう。

ノンバンクを使用しているかどうか

ノンバンクを使用しているかどうかも審査に影響する条件です。ノンバンクとは、以下のようなものが当てはまります。

  • ビジネスローン
  • 消費者金融カードローン
もし、ノンバンクから資金の借り入れの行っている場合、銀行借り入れは難しくなります。ノンバンクは、銀行と同様に許認可を得ている金融業者です。

一方で、審査ハードルが低く、高金利の傾向が強いという特徴があります。そのため、ノンバンクを使用している経営者に対し、銀行は借り入れを渋る傾向があります。

あくまでノンバンクは、銀行借り入れが失敗した際の資金調達先として扱っておいた方がいいでしょう。

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②審査を通過するためのポイント

審査を通過することを難しいと感じている方は多いですが、銀行借り入れの審査を通過するためのポイントは、2つあります。

  • 具体的な数字を提示している経営計画
  • 資金繰り表
2つをしっかりと担当者に示し、綿密な計画と返済できる根拠を提示できれば、問題ありません。ただ、経営者個人が日々の業務と並行して2つの書類を作成することは、決して簡単ではないのです。

そこで重要となるのは、経営者が「経営に対して情熱をもって誠心誠意取り組んでいるか」という点です。担当者の印象を決定づける重要なファクターとなります。

そのため、経営資金が欲しいという浅はかな動機では、審査を通過する可能性は低いと言えます。銀行借り入れを行うことで、どれだけ社会的に価値がある事業を展開できるかをアピールできるよう、準備を整えましょう。

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銀行借り入れの金利

銀行借り入れを受けると、返済の際に金利が発生します。その金利は一定ではなく、銀行によって異なり、相場は5%~18%ほどだと言われています。具体的な金利の数値は、経営者の事業におけるさまざまななファクターを考慮して決定されます。

  • 返済できる可能性
  • 事業の将来性

そのため、金利がどれくらいで設定されるかは、銀行借り入れを申し込んでいる経営者の事業次第だといっても過言ではないでしょう。当然ながら、「金利はなるべく下げたい」と考えるのが経営者です。金利を下げるための方法には、さまざまな手段があります。

  • 会計ソフトで高精度の帳簿を作成する
  • 会計士事務所から記帳適時性証明書を発行してもらう
  • 経営計画書を作成する

金利を下げる方法は、事業の格付けをアップさせることにもつながります。そのため、審査も通過しやすくなるというメリットもあるのです。銀行借り入れを申し込む際には、外部の専門家も交えて、しっかり準備しておくことが重要となります。

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銀行借入で必要な書類

銀行借り入れの申し込みの際には、必要書類を提出しなければなりません。ただ、必要書類は、法人と個人事業主で異なります。また、日ごろから付き合いがある銀行の場合は、必要な書類が減らされることがあります。

ここでは、3つのケースに分けて、必要となる書類をご紹介しておきます。

  1. 法人の必要書類
  2. 個人事業主の必要書類
  3. 初めて取引をする銀行の場合
不備がないよう、十分にチェックしてください。

①法人の必要書類

法人の必要書類は、11種類です。

  • 経営計画書
  • 商業登記簿謄本
  • 資金使途資料
  • 決算書類一式
  • 月次決算表
  • 今後の資金繰り計画
  • 銀行取引一覧表
  • 今後の損益計算書
  • 予想貸借対照表
  • 借入申込書
  • 納税証明書

あくまで目安となりますので、必要に応じて銀行から要求された書類を提出しましょう。

②個人事業主の必要書類

個人事業主の必要書類は、6種類です。

  • 経営計画書
  • 試算表
  • 資金繰り計画
  • 銀行取引一覧表
  • 損益計算書
  • 予想貸借対照表

こちらも目安のため、銀行によっては追加で書類提出が必要な場合があります。

③初めて取引をする銀行の場合

日ごろから付き合いがある銀行の場合は、必要な書類が少なくて済むケースが多いです。しかし、日ごろの付き合いがない銀行の場合には、事業の内情を伝えるため、提出が必要な書類が多くあります。初めて取引をする銀行へ提出する書類は、8種類です。

  • 会社の案内書、経歴書、会社概要、ホームページなど
  • 製品カタログ、パンフレットなど
  • 税務署受付印・付属明細書を添付した過去3期分の決算書
  • 事業計画書
  • 銀行所定の用紙に記入した借入申込書
  • 借り入れの使い道
  • 資金繰り表
  • 保証人、担保など

あくまで目安なので、より事業の内容を伝えられる資料がある場合には、必要に応じて提出しましょう。

融資を受けるための準備と方法

最後に、融資を受けるための準備と方法について、2つのパターンに分けてご紹介します。法人と個人では融資の準備や方法が異なりますので、法人融資および起業資金見合いの個人融資を受けるためのそれぞれへの準備や具体的な方法を紹介します。状況に合わせた方法を活用するようにしましょう。

法人融資を受けるために

銀行から法人が法人融資、法人借入を受けるためには、資金の用途を明確にしておくことが大切です。融資では、資金の用途別にコースが分かれていることがあり、それぞれ借入期間や借入金の額が異なっています。

銀行借り入れを受けるには、「借り入れたお金を何に使うのか」を明確にする必要があります。

ここでは、2つのポイントについてご紹介します。

  • 資金の用途の種類
  • 資金の用途によって融資内容が異なる
法人融資や法人借入を受けるためにも、ポイントをおさえておきましょう。

資金の用途の種類

資金の用途は、基本的に3種類あります。

  • 創業のための「創業資金」
  • 経営の運転に用いる「運転資金」
  • 設備投資に用いる「設備資金」
資金の用途によって、融資の内容や審査における判断材料が異なります。

資金の用途によって融資内容が異なる

創業資金のための融資の場合には、創業計画を提出する必要があります。当然、合理性があり、実現性が高い創業計画でなければ融資は実現しないでしょう。

運転資金のための融資では、決算書の経費を越える金額の融資を受けることはできません。また、「運転資金を適切に使用できるかどうか」も融資を続ける判断材料とされます。

設備資金のための融資の場合、設備投資のためにかなりの額の資金をつぎ込むことは珍しくありません。そのため、設備資金のための融資は、長期間の借り入れができるよう設定されています。

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起業資金見合いの個人融資を受けるために

個人事業主が銀行借り入れで起業資金を調達する際には、法人と同様に創業資金のための融資を受ける必要があります。ただ、法人が別の会社を創業するようなケースと違い、個人事業主がゼロから起業する際に銀行から借り入れることは決して簡単ではありません。

極端に言ってしまうと、ほとんど不可能だといってもいいでしょう。

銀行借り入れは、ゼロからの起業を行う個人には不向きといっても過言ではありません。メガバンクのような大きな都市銀行では、そもそも相手をしてくれないケースがほとんどです。

個人で起業資金を調達したい場合は、日本政策公庫など政府系の金融機関を利用することがおすすめです。政府系の金融機関は、民間の銀行と比べて審査基準が緩いことが多く、低金利となっています。個人でも借り入れがしやすい傾向にあります。

たとえ実績がなくても審査を通過できるケースも多いので、民間の銀行借り入れが難しい個人でも起業資金を調達できる可能性が高いです。

また、政府系の金融機関からの融資実績があれば、信頼を得ることができ、民間の銀行借り入れもしやすくなります。ある意味一石二鳥だと言えるでしょう。

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融資の相談

まとめ

銀行借り入れは、審査をクリアするために、さまざまなな準備をしておく必要があります。また、銀行借り入れは、会社の経営の生命線でもあると言えます。

借りたいと思ってもすぐに借りることができないので、審査を通過できるように、専門家の力も借りて臨むようにしましょう。

審査の通過を狙うなら、経営コンサルティング会社や税理士事務所、会計士事務所といった外部の専門家の力を借りることをおすすめします。

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