2021年5月7日更新資金調達

エクイティファイナンスとは?メリット・デメリットや種類やM&A戦略での活用を解説

エクイティファイナンス(Equity Finance)は、エクイティ(株主資本)の増加をもたらす資金調達方法のことです。エクイティファイナンスには新株や新株予約権付社債の発行などがあります。この記事ではそのメリット・デメリットを解説します。

目次
  1. エクイティファイナンスとは?
  2. エクイティファイナンスの特徴
  3. デットファイナンスとエクイティファイナンスの違い
  4. エクイティファイナンスの種類
  5. エクイティファイナンスのメリット・デメリット
  6. エクイティファイナンスを成功させるには?
  7. エクイティファイナンスとM&A戦略
  8. まとめ

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エクイティファイナンスとは?

エクイティファイナンス(Equity Finance)は、エクイティ(株主資本)を増やす資金調達方法のことです。企業が株式を新たに発行することで、必要な資金を調達する増資方法をいいます。

具体的には新株発行、転換社債型新株予約権付社債(CB)などの新株予約権付社債の発行などで資金が調達されます。エクイティファイナンスで調達した資金は、バランスシート(賃借対照表)において「資本」の部に入ります。

一方で、資金調達方法が全てエクイティの増加を伴うわけではありません。例えば銀行からの借り入れによって資金を調達する場合、新株が発行されないのでエクイティは増加しません。このような資金調達方法を、デットファイナンスといいます。

エクイティファイナンスで調達した資金はバランスシートの「資本」の部に入りますが、デットファイナンスで調達した資金については「負債」の部に入れられます。両者の違いについては、後ほど詳しく説明します。

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エクイティファイナンスの特徴

エクイティファイナンスの特徴は、基本的に返済期限のない資金調達方法であることです。設備投資などで資金が多く必要な成長企業には有効な資金調達法であり、企業の財務体質を強固なものにする効果が期待できます。

一方で、新たに株を発行することによって一株あたりの価値が下がってしまう特徴もあります。株主にとっては不利益を被る可能性が出てきますので、株主に対する十分な説明が求められます。

エクイティファイナンスを実施する場合は、企業は臨時株主総会を開くなどして株主の深い理解を得ることが重要です。株主への十分な説明を怠れば、会社の支配関係に悪影響を及ぼす可能性などもあるので注意が必要です。

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デットファイナンスとエクイティファイナンスの違い

デットファイナンスとエクイティファイナンスは、どのように違うのでしょうか。企業の資金調達方法には大きく分けてこの2つがありますが、両者にはどんな違いがあるのでしょうか。

エクイティファイナンスは、新たに株式を発行して資金を調達する方法であることはすでに説明しました。一方で、デットファイナンスは新株の増加を伴わない資金調達方法のことをいいます。

例えば銀行からの借り入れ、普通社債の発行などがこれにあたり、デットファイナンスとなります。いずれも、エクイティファイナンスのように新株が発行されるわけではなく、株主資金の増加がもたらされることもありません。

エクイティファイナンスの種類

エクイティファイナンスには、大きくわけて以下の4つの種類があります。

  1. 公募(時価発行増資)
  2. 株主割当て
  3. 第三者割当て
  4. 新株予約権付社債

1つずつ順を追って見ていきましょう。

①公募(時価発行増資)

公募とは時価に近い価格で新たに株を発行し、資金を調達する方法のことです。「時価発行増資」とも呼ばれます。不特定多数の投資家から幅広く資金調達をすることができます。

時価で株式を発行するため、自社の株価が高ければそれだけ多くの資金を調達できるメリットがあります。一般投資家から多くの資金を調達することができるため、株主層の拡大といった利点もあります。

②株主割当て

持ち株数に応じて権利を与える増資方法

株主割当てとは、新株を発行する際に既存の株主(その株式の発行会社を除く)に対し、持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利を与えるものです。株主は持ち株数に応じて新株の割り当てを受ける権利があります。

例えば持ち株数10株に対して1株を割り当てる場合、50株を持つ株主には5株、30株を持つ株主には3株が割り当てられます。結果として、この場合の株主は、それぞれ55株、33株を保有することになります。

ただし、株主は割り当てられた新株に対して申し込みや払い込みを行わなければいけないわけではありません。割り当てられた新株の数すべてを申し込む必要もなく、申し込みがなければその権利は失効することになるだけです。

株主の構成が変化しない増資方法

株主割り当てで増資を行う場合は通常、時価以上の価格で株が割り当てられます。仮に時価以下の価格で株を割り当てた場合、1株あたりの価値が下がって株主が損失をするリスクがあるためです。

株主割当てによる資金調達のメリットは、「株主の構成」に大きな変化を与えることなく増資をすることが可能な点です。また、比較的資金調達を行うことが可能な増資方法でもあるため、経営の中長期的な安定に効果があります。

また、「既存の株主(自社を除く)」という部分もポイントです。会社が自社の株式を保有することがありますが、株主割当ての対象となる「既存の株主」に、自社(その株式の発行会社)は含まれません。自分が自分に出資する意味はないからです。

③第三者割当て

第三者割当ては、株主割当てによらない方法で新株の割り当てを受ける権利を与えることです。株主割当てのように既存の株主だけを対象とするのではなく、新たに第三者に新株を引き受ける権利を与えることができます。株主以外も含め、特定の第三者に新株が割り当てられます。

また、株式発行会社の従業員や親会社、業務提携の相手先や取引先など特定の縁故者に割り当てられることが多いため、「縁故割当て増資」とも呼ばれます。そのため、この増資方法は取引先や業務提供先との関係を安定させたいときなどに使われます。

先述したように「株主割当てによらない方法」を意味するものであり、既存の株主に対する割当てであっても持ち株数に応じた割当てでなければ、それは株主割当てにはあたりません。つまり、その場合も第三者割当てということになります。
 

④新株予約権付社債の発行

新株予約権社債とは、新株予約権が付与された社債のことです。社債とは、会社が資金調達のために発行する債券です。銀行からの借り入れや株式の発行以外の資金調達方法として知られています。この社債に新株予約権がついたものが新株予約権付社債です。

新株予約権とは?

新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより、その会社の株式の交付を受けることができる権利です。新株予約権という権利を行使して出資を行い、株主になることができます。新株予約権はあくまで権利なので、行使するかどうかはその人の自由です。

新株予約権は発行段階ではまだ出資が行われず、新株予約権者はこの段階ではまだ株主ではありません。その権利を行使することで必要な出資を行い、はじめて株主となります。発行と行使という2段階にわかれている点が新株の発行との違いです。

株式に転換できる社債

新株予約権付社債は、社債として利子を受け取ることができるほか、新株予約権を行使して株主になることもできます。株価の状況によっては新株予約権を行使して株式を取得し、売却して利益を得ることができます。

反対に、株式の取得が損になるようであれば、社債として保有して利子を受け取ることで利益にすることも可能です。新株予約権付社債は、新株予約権を行使するか社債として保有するか、状況に合わせて柔軟に選択することができます。

新株予約権付社債は株式に転換できるというメリットがあるため、普通社債と比べて利回りは低くなっています。ただし、株式へ転換しなければ一定の利払いがあり、満期には額面金額償還されることになっています。

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エクイティファイナンスのメリット・デメリット

エクイティファイナンスにはさまざまなメリットがあります。しかし、その一方でデメリットも存在します。メリットとデメリットについて、それぞれ確認しておきましょう。

エクイティファイナンスのメリット

エクイティファイナンスの場合、原則的に返済義務や利息が発生しません。この点は大きなメリット。銀行から借り入れる場合などには、いずれは返済することになり、同時に利息も発生します。

エクイティファイナンスの場合は株主資本の増加をもたらす資金調達方法のため、株主による出資が基本です。株主の出資に対しては、返済義務や利息がありません。株主は株式の保有によって配当金を得ることができますが、これは返済や利息には当たりません。

また、エクイティファイナンスには財務体質を強固にする効果もあります。返済の必要がなく、必要な資金を無駄なく確保することができます。

エクイティファイナンスのデメリット

経営権を握られるおそれがある

エクイティファイナンスでは株主に経営権を握られるおそれがあります。株主は、基本的に株主総会の議決権があり、株主総会では会社の経営に深く関係する決議が行われます。ここで株主が議決権を有するため、株主は会社の経営に関わることができます。

議決権は持ち株比率によって変わります。エクイティファイナンスによって第三者が株を多く保有すれば経営に口を出される機会も多くなり、場合によっては経営権を握られてしまう可能性もあります。

株主との信頼関係を失う可能性がある

また、エクイティファイナンスでは新株の発行によって1株の価値が薄まるため、株主との信頼関係を失う場合もあります。新株を発行によって既存の株主の株式の価値が下がり、株主が損を被る可能性があります。

エクイティファイナンスは株価の下落につながることがあるので注意が必要であり、株主が納得のいく合理的な説明ができなければなりません。とはいえ、一般的に株価の予測は難しいのが実情です。

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エクイティファイナンスを成功させるには?

エクイティファイナンスを成功させるには以下のようなポイントがあります。

  1. 株価の動向を見る
  2. 会社の成長に必要なタイミング
  3. 会社法に則って進める

1つずつ順を追って見ていきましょう。

①株価の動向を見る

エクイティファイナンスは、その性質上、株価に影響を与えます。新株の発行などは効果的な資金調達方法ですが、市場での評価も考えなくてはなりません。エクイティファイナンスがポジティブに評価されれば株価も上昇しますが、ネガティブに評価されれば株価は下落します。

株価の予測は難しいですが、市場の動向を踏まえ、エクイティファイナンスの実行のタイミングを見極めることが大切です。効果的な資金調達方法である一方で、使い方やタイミングを間違えればリスクもあります。

②会社の成長に必要なタイミング

エクイティファイナンスは一株の価値が薄くなり、株主に負担をかけてしまう資金を調達方法です。エクイティファイナンスを行う際には株主への十分な説明が必要であると同時に、会社の成長にとって必要なタイミングにしぼって行うべきです。

エクイティファイナンスは有効なタイミングで行うことによって資本が充実し、会社の体質強化につながる資金調達方法です。効果的な資金調達方法であるからといって、タイミングを考えずに実行しても会社の発展にはつながりません。

③会社法に則って進める

エクイティファイナンスは「会社法」に則って慎重に進めることも重要です。会社法とは会社を設立したり運営したりする際のルールを定めた法律で、商法や有限会社法、商法特例法といった法律を統合して2006年に適用が始まった法律です。

会社法には社債や株式による資金調達についての規定もあり、株主や債権者を保護するものも含まれています。エクイティファイナンスを行う際に既存の株主に理解を得るためにも、会社法に則って身長に準備を進めることが必要です。

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エクイティファイナンスとM&A戦略

企業の資金調達方法の一つであるエクイティファイナンスは、M&Aと比較して考えられる場合もあります。エクイティファイナンスとM&A、それぞれの特徴を確認しておきましょう。

M&Aのメリットとは?

M&Aのメリットの一つは、財務基盤を強化できることです。例えば大企業に買収されれば、短期間で効率的に資金を確保できます。特に最近のスタートアップ企業には、大企業による買収を狙う傾向があります。
 
新株の発行などによる資金調達は、場合によっては時間がかかるおそれがあります。一方で、M&Aが成功すれば比較的短期間で資金を調達することができるため、スタートアップ企業ではIPO(新規株式公開)より大企業の傘下に入ることを優先する傾向も見られます。

エクイティファイナンスの重要性

しかし、エクイティファイナンスの重要性が下がっているわけではありません。M&Aに多くの資金がかかる場合、そもそも資金がなければ実行できません。買収する側が買収資金を確保するためにエクイティファイナンスを行うことは十分に考えられます。

また、M&Aの実行後にも何かと資金が必要でしょう。M&A後を見据えた資金調達のために、エクイティファイナンスを検討することも考えられます。このような場合、M&A戦略の一環としてエクイティファイナンスを考慮することになります。

エクイティファイナンスは株式会社にとって、基本的な資金調達方法です。株式会社の性質上、株式によって資金を集めることは基本と言えます。M&Aによる効率的な資金調達が話題を集めても、エクイティファイナンスの重要性が大きく変化することはないでしょう。

M&Aと絡めた戦略も有効

とはいえ、株式による資金調達より、スタートアップ企業などではM&Aによって短期間で効率的に資金を確保しようとする傾向が強まっているのは事実です。エクイティファイナンスをM&Aと絡めての戦略も有効です。

エクイティファイナンスと絡めることができ、短期間で効率的に資金調達も可能になります。M&Aをご検討される場合には、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

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まとめ

エクイティファイナンスは、エクイティ(株主資本)を増加させる資金調達方法であり、その種類には新株や新株予約権付社債の発行などがあることを解説しました。

エクイティファイナンスは株式会社の基本的な資金調達方法ではありますが、デメリットもあります。やはり専門家のサポートを受けて実行することが、安全で成功につながる可能性が高いと言えます。

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