2021年5月3日更新事業承継

相続における遺言とは?遺留分との優先順位も解説

遺言書の有無により相続手続きが異なります。遺言書がないと相続手続きが複雑になるうえ、親族間でトラブルが発生する可能性が高まります。相続における遺言の種類、法定相続と遺言の優先順位、遺言による相続と遺留分、相続における遺言書が無効となる条件を中心に解説します。

目次
  1. 相続と遺言
  2. 相続における遺言の種類
  3. 法定相続と遺言の優先順位
  4. 遺言による相続と遺留分
  5. 相続における遺言書が無効となる条件
  6. 遺言書がある場合の相続手続き
  7. 遺言書がない場合の相続手続き
  8. まとめ

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相続と遺言

親族が亡くなると相続手続きの必要が生じます。相続に慣れている方は少なく、手続きに苦労します。相続の際、遺産分割を左右するのが遺言です。遺言は被相続人の最後の意思表示です。

遺言があることによって相続財産の承継について被相続人の意思を反映させることが可能です。遺言の有無や内容次第で、相続の手続きや手間が大幅に変わります。この記事では、相続と遺言の関係について詳しく解説します。

相続における遺言の種類

まず、相続における遺言の種類について解説します。遺言の効力を発揮させるためには、法律で定められた方法で書かれた遺言書でなければなりません。

遺言書には普通方式と特別方式の2種類があります。普通方式の遺言書は、さらに自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言に分かれています。それぞれどのような遺言書なのでしょうか。

①相続における自筆証書遺言

名前のとおり被相続人である本人が作成する遺言であり、相続の場面では最も一般的な遺言書です。相続で用いる自筆証書遺言には、下記内容を記載しなくてはいけません。

  • 遺言書の作成年月日
  • 遺言者の氏名
  • 自署で記入した遺言の内容
上記の内容を記したら、忘れずに自身の印鑑(実印がベスト)を押印する必要があります。また平成31年1月から新しい民法が施行され、相続財産の目録について自書する必要がなくなりました。いつでも簡単に作成できる点が相続で自筆証書遺言を用いる大きなメリットです。

②相続における公正証書遺言

公正証書遺言とは、被相続人が公証人に対して遺言内容を伝え、公証人がその内容を遺言書に記載する遺言です。公証人とは、公権力を根拠に遺言書の効力を証明する人物をさします。

遺言の作成には手間や時間がかかるものの、遺言書の信憑性が問題となることはなく、確実に効力を発揮するため、トラブルに発展しにくいというメリットがあります。

③相続における秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、内容を秘密にしつつ遺言書の存在を証明できる遺言です。遺言内容への署名と押印は被相続人自身が行い、遺言書を封筒に入れ同様の印章をしたうえで、公証人に提示します。遺言書の正当性は公証人に証明してもらいます。

自筆証書遺言と公正証書遺言のハイブリットとも呼ばれる遺言であり、相続時のトラブルを回避できます。

④相続における特別方式の遺言書

①〜③は普通方式の遺言であり、上記以外に特別方式の遺言書も存在します。特別方式の遺言書とは、病などによりもうすぐ亡くなってしまう場合や、船の遭難・伝染病などにより外界から隔絶されている場合に作成するものです。

特別方式の遺言書には以下が挙げられます。

  • 一般危急時遺言
  • 難船危急時遺言
  • 一般隔絶地遺言
  • 船舶隔絶地遺言

普通方式の遺言を作成できない特殊なケースにおける遺言であり、通常の遺言とは異なる点がいくつかあります。

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法定相続と遺言の優先順位

民法では一定範囲内の親族が相続する財産について、下記の参考基準を設けています。

  • 配偶者と直系卑属が相続人→配偶者2分の1・直系卑属2分の1
  • 配偶者と直系尊属が相続人→配偶者3分の2・直系尊属3分の1
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続人→配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1

存命である限り配偶者は必ず相続人となるうえに、相続財産の分配割合で優遇されています。配偶者の次に優先されるのは子供や孫などの直系卑属であり、その後に親や祖父母など直系尊属が続きます。兄弟姉妹は直系尊属や卑属に相続権が発生しないときのみ、法定相続人としての権利を得られます。

法定相続分を参照すれば公平な遺産分割を実現できますが、遺言が存在する場合には優先順位はどうなるのでしょうか?遺言書が存在する場合には、法定相続分よりも遺言書の内容を優先する必要があります。被相続人は遺言書を作成することで、原則、自由に遺産を相続させることが可能です。

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遺言による相続と遺留分

遺言書は法定相続よりも優先されるため、誰か1人に全財産を相続させることが可能となります。しかし残された家族からすると不公平であるため、法律によって一定範囲内の親族には遺留分が保障されています。

一定範囲内の親族が最低限相続できる財産を遺留分といい、遺言書の内容よりも優先されます。相続で最低限保障される遺留分の合計は、下記になります。

  • 直系尊属のみが相続人→全相続財産の3分の1
  • それ以外→全相続財産の2分の1

上記を法定相続分に応じて分配しますが、兄弟姉妹には遺留分が認められません。遺言書により相続財産が遺留分以下となった場合、遺留分減殺請求を行えば遺留分を確保できます。

しかし相続の事実を知ってから一年を過ぎると、遺留分減殺請求を行使できなくなるのでご注意ください。

相続における遺言書が無効となる条件

相続において遺言は優先順位が高いものの、一定条件に該当すると遺言自体が無効となります。無効になってしまいがちな5つのケースをお伝えします。

①パソコンで作成

自筆証書遺言をパソコンで作成した場合、その遺言書は無効となります。秘密証書遺言であればパソコンでの作成でも問題ありませんが、自筆証書遺言は必ず直筆で作成する必要があります。

秘密証書遺言とは違い自筆証書遺言は公証人による証明がないため、パソコンで作成すると誰が作成したか判断できなくなります。例えプリントアウトした用紙に署名や押印などをしても認められません。相続の際には、遺言の種類によって作成方法が異なるので注意しましょう。

②日付の記載がない

日付の記載がないために、相続において遺言書が無効となるケースは少なくありません。相続では遺言書が作成された日付が非常に重要となるため、記載されていなければ問答無用で無効となります。遺言書を書いた日付は年月日で記入するようにしましょう。

ただし「○年○月吉日」と 書くと日時が特定できず、遺言書は無効になるので注意してください。たかが日付と思われるかも知れませんが、相続は法律行為ですので厳格にルールを守らなくてはいけません。

③相続財産の内容が不明確

遺言書には相続財産の内容を正確に記述する必要があり、不明確だと無効になります。相続財産の名義変更の手続きとなるため、分割内容を記載する場合、誰が見ても明確に分かるように記入する必要があります。

例えば、不動産の相続財産であれば、単に「自宅を○○に相続させる」と書くだけでは不十分であり、不動産であれば通常の住所表記ではなく、地番や家屋番号、構造、床面積などまで詳細に書かなくてはいけません。

④修正手続きの不備

一般的な文書では二重線で消したうえで書き直せば問題ありませんが、相続で用いる遺言書では無効になります。遺言書の修正では、二重線による消去と書き直しに加えて、押印や「どこの部分をどのように修正したか」を書き記す必要があります。

遺言書の修正など非常に厳格に決められているため、一つでも欠けると無効となる可能性が高いので、間違えた際は書き直す方が確実でしょう。

⑤共同遺言の禁止

民法では、2人以上で作成する共同遺言書は効力を持たないと定められています。夫婦や兄弟などで共同で遺言を作成すると、 お互いに遠慮してしまい遺言者の自由が完全に保障されない恐れが出てきます。

また遺言作成後において、被相続人の1人が死亡した場合、残りの被相続人が遺言の撤回の自由を制約されてしまう場合も考えられます。遺言書を作成する際は、各遺言者がそれぞれ作成する必要があります。

⑥遺言者以外の意思が疑われる

遺言書はどのような理由があろうとも、本人の意思により作成しなくてはいけません。以前被相続人が話していた相続の詳細について、第三者から伝える代理遺言は無効となります。また被相続人を脅迫して有利に書かせた遺言書も無効です。

遺言書は条件が整っていれば、法定相続よりもさらに効力を発揮しますので、有効な遺言書を作成する場合は、遺産相続に強い専門家に相談するのが安心です。

また、M&Aを検討されている場合は、M&A仲介会社などの専門家に相談してサポートを依頼するとよいでしょう。

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遺言書がある場合の相続手続き

この項では、遺言書がある場合の相続手続きについて解説します。

①遺言書の検認

遺言書がある場合は、最初に遺言書の検認を実施する必要があります。遺言書の検認とは、「遺言書の存在」および「遺言書が本当に被相続人により作成されたこと」を確認する相続手続きです。相続人は家庭裁判所に遺言書を提出し、その後相続人立ち会いの元で検認手続きを行います。

検認する前に遺言書を開封すると、5万円以下の罰金(過料)が発生するのでご注意ください。発見されたものが公正証書遺言である場合、検認手続きを経ずに相続を実施できます。

②遺言書に基づく相続実行

検認が完了したら、遺言書の内容に基づいて相続を実行します。遺言書にて遺言執行者が指定されている場合は、遺言執行者の主導で相続手続きを進めます。

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遺言書がない場合の相続手続き

最後に、遺言書がない場合の相続手続きに関して説明します。

①相続人の確定

遺言書がない場合には、法定相続人による遺産分割協議により、各相続人が相続する財産割合を決めます。遺産分割協議の開催に向けて、まずは戸籍などにより法定相続人を調べる必要があります。

後から他の法定相続人の存在が判明した場合、既に実施した遺産分割協議の効力は無効となり、やり直しとなります。二度手間とならないためにも、法定相続人の有無や人数は徹底的に調べる必要があります。

②遺産分割協議の開催

法定相続人が確定したら、遺産分割協議を開催します。遺産分割協議では法定相続分も考慮して、話し合いにより各相続人の取得分を決定します。遺産分割協議が難航し話し合いが進まない場合には、弁護士などを介入させることをおすすめします。

弁護士を介入させれば、公正な第三者の立場から相続手続きを進めることが可能です。遺産分割協議で決定した事項は、遺産分割協議書に漏れなく記載します。限定承認や相続放棄を行う相続人は、相続人であることを知った日から3カ月以内に所定手続きを実施しましょう。

③遺産分割協議に基づく相続実行

遺産分割協議の合意内容に基づいて相続を実行します。以上のとおり遺言書がある場合と比べて、ない場合には相続手続きが複雑になります。

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まとめ

今回は、相続と遺言の関係についてご説明しました。遺言書の有無により、必要な相続手続きが大きく異なります。遺言書がないと相続手続きが複雑になるうえ、親族間でトラブルが発生する可能性が高まります。親族のためにも、遺言書は準備した方が良いでしょう。要点をまとめると下記になります。

・相続における遺言の種類
→自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式の遺言書

・法定相続と遺言の優先順位
→遺言の方が優先順位が高い(遺言がある場合は遺言の内容にしたがって相続)

・遺言による相続と遺留分
→一定範囲内の相続人には、遺留分として最低限の財産が確保される(遺言書に左右されない)

・相続における遺言書が無効となる条件
→パソコンで作成、日付の記載がない、相続財産の内容が不明確、遺言者以外の意思が疑われる、修正手続きの不備

・遺言書がある場合の相続手続き
→遺言書の検認、遺言書に基づく相続実行

・遺言書がない場合の相続手続き
→相続人の確定、遺産分割協議の開催、遺産分割協議に基づく相続実行

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