2020年11月6日公開事業承継

事業承継のタイミングはいつが最適?計画をはじめる3つのタイミングを紹介

2020年代は団塊世代の経営者の引退により、中小企業の事業承継が増えてきます。しかし、事業承継のタイミングが遅すぎるケースが多いのが現状であり、最適なタイミングを知ることが経営者にとって重要です。本記事では、事業承継の最適なタイミングについて解説します。

目次
  1. 事業承継とは
  2. 事業承継のタイミングはいつが最適?
  3. 事業承継の計画をはじめる3つのタイミング
  4. 事業承継を成功させるには?
  5. 事業承継計画書の作成は必要?
  6. 事業承継は税金対策も同時に考えるべき
  7. 事業承継にお悩みならM&A仲介会社への相談がおすすめ
  8. まとめ
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事業承継とは

事業承継とは

事業承継とは、会社や個人事業を営んでいる経営者が引退し、後継者を据えて事業を引き継ぐことです。経営者という職には定年がないので、経営者自身の判断で適切なタイミングを探る必要があります。

特に、近年は高齢化で経営者の年齢が上がっており、団塊世代の経営者の多くが今後数年間で引退していくと予想されます。事業承継を適切なタイミングで行うことは、全ての経営者にとって重要な問題です。

事業承継で後継者を社長に据えるのは、単に社長という地位を引き継ぐだけではありません。株式を後継者に譲渡することで、経営権を移転する必要があります。

株式には議決権があるので、仮に後継者が社長に就任しても、株式を保有していなければ会社に関する重要な決定をすることができません。事業承継では、株式の譲渡をいかにトラブルなく行うかが、成功のための重要なポイントとなります。

事業譲渡では株式の移転はありませんが、代わりに許認可の再取得や従業員の再雇用などをうまく行う必要があります。

事業承継は誰を後継者にするかによって、親族内事業承継・親族外事業承継・M&Aによる事業承継の3つに分類できます。

【事業承継の種類】

  1. 親族内事業承継
  2. 親族外事業承継
  3. M&Aによる事業承継

1.親族内事業承継

親族内事業承継とは、現経営者の親族を後継者にする事業承継のことです。一般的には子どもが後継者となることが多いですが、甥・姪など親族が後を継ぐのは全て親族内事業承継に含まれます。

後継者というと現経営者より下の世代がなるのが普通ですが、妻が後継者になるケースも意外と多いといわれています。

このケースの多くは望んでなったのではなく、現経営者が急病などで仕事ができなくなり、仕方なく妻が後を継ぐ形になったものです。

しかし、経営の経験も覚悟もないまま後継者となっても、うまく会社を回していくのは難しいでしょう。そのため、事業承継のタイミングを図るのは、このようなトラブルを招かないためにも重要です。

親族内事業承継では贈与か相続で株式を譲渡することになりますが、ほかの親族と財産配分についてトラブルにならないようにすることも大切です。

2.親族外事業承継

親族外事業承継とは、会社の社員や役員などの、親族ではない人を後継者にする事業承継です。社内の人物だけでなく、社外から後継者を招へいすることもできます

親族外事業承継は、一時的なつなぎとして社員や外部の人間を社長にできるのが利点です。例えば、最終的には親族を後継者にしたいがまだ経験不足な場合、経験豊富な社員や役員を一旦新社長とし、数年後改めて親族が社長に就くといったこともできます。

この場合は社長となる社員には株式を譲渡せず、あくまで経営権は前社長が持ったままにしておくのがポイントとなります。

正式な後継者として社員・役員を新社長とする場合は、株式を譲受することになります。しかし、親族外事業承継ではほとんどの場合で株式を有償譲渡するため、新社長が株式を買い取る資金を用意しなければなりません

株式の買い取り資金をどうするかは、親族外事業承継を成立させるための重要な問題です。一般的にはマネジメントバイアウト(MBO)などの手法を使って、ファンドや金融機関から資金を調達することになります

3.M&Aによる事業承継

M&Aで会社を売却することで、事業承継を行うこともできます。M&Aによる事業承継では、親族でも社員でもない、M&Aを行うまで面識がなかった企業や人物に事業承継することになり、株式譲渡・事業譲渡・吸収合併といった手法を利用します。

株式譲渡は後継者に株式を売却するM&A手法であり、事業譲渡は株式ではなく事業資産を売却します。複数の事業を営んでいる場合、事業譲渡であればそのうちの一つだけを事業承継することも可能です。

規模の大きい企業へ事業承継する場合は、吸収合併を利用する選択肢もあります。吸収合併すると元の会社はなくなってしまいますが、譲受先企業の一部として事業は存続します。

親族や社員に後継者がいない会社が、経営が順調にもかかわらず廃業してしまうケースが多いので、M&Aによる事業承継が普及することは、今後の日本経済を守るためにも重要です。

M&Aによる事業承継は親族や社員を後継者にする場合と違って、後継者教育に時間をかける必要はありません

よって、M&Aによる事業承継を始めるタイミングは、親族内・親族外事業承継より数年遅くてもよいことになります。

【関連】事業承継とは?方法や事業承継税制・補助金、M&Aでの活用について解説

事業承継のタイミングはいつが最適?

事業承継のタイミングはいつが最適?

中小企業庁の調査によると、実際に事業承継が行われるタイミングは、平均で後継者が約50歳になった時であるというデータが得られています。

一方で、事業承継のタイミングに満足しているかというアンケートをとると、満足度が高いのは平均約43歳という結果になっています。

これらのデータによると、実際に行われている事業承継のタイミングは、最も満足度が高い時より約7年遅れているということになり、全体的にタイミングが遅すぎることがわかります。

つまり、事業承継の最適なタイミングを考える時は、早め早めの対応を心がける必要があるということになります。もちろん、具体的にどのタイミングが最適かは、会社によってそれぞれ違います。

現経営者が高齢でも、健康で気力に満ちていれば無理に引退させる必要はないかもしれませんし、逆に現経営者が急病になった場合は、後継者がまだ若くても事業承継を考えなければなりません。

しかし、そういった個々の事情をならして平均をとると、後継者が40代で事業承継するのがちょうどいいタイミングだと知っておくのは有益といえるでしょう。そこを基準にして、自社にとっての良いタイミングはいつなのかを考えることができます。

事業承継の計画をはじめる3つのタイミング

事業承継の計画をはじめる3つのタイミング

前章で事業承継のタイミングは早めに考える必要があることを述べましたが、ただ早ければよいというわけではなく、自社にとって最適なタイミングを見極める必要があります。

事業承継の最適なタイミングの目安としては、例えば、後継者が育っている時会社の経営状態が安定している時などが考えられます。もちろん、後継者がまだ若い時に早めの対応をしておくことも大切です。

この章では、事業承継の計画を始めるこれら3つのタイミングについて解説していきます。

【事業承継の計画をはじめる3つのタイミング】

  1. 後継者がまだ若い時
  2. 後継者が育っている時
  3. 会社の経営状態が安定している時

1.後継者がまだ若い時

事業承継のタイミングは、実際に後継者に社長の座を譲る時点ではなく、その前の後継者教育を起点に考える必要があります。

後継者教育とは、後継者となる親族や社員を実際に社長にする数年前から、経営者として必要なスキルや心構えを習得させることです。

前章で、後継者が平均約43歳の時に事業承継を行うと満足度が高くなると述べましたが、後継者教育の期間を考慮すると、事業承継の計画を始めるタイミングはそのさらに数年前が適しているということになります。

もちろん、実際にいつ事業承継の計画を始めるかは、現社長の年齢や体力、会社の経営状況や業界動向なども考慮してタイミングを図る必要があります。

しかし、そういった個々の事情をならした統計データとしては、大体43歳の数年前、後継者が30代後半から40歳くらいのタイミングで、事業承継の計画を始めるとよいと考えることができます。

2.後継者が育っている時

後継者教育を行っていくなかで、後継者が経営者としての能力や自覚が身につき、会社を任せられると判断した時は、事業承継のよいタイミングだといえます。

後継者が育っていることをどのように判断するかについては、経営者として必要な知識やスキルだけでなく、責任感や覚悟といった精神的なものを見極める必要があります。

さらに、会社の経営理念を理解して、現経営者の意思を引き継げるかどうかもチェックしておきたいポイントのひとつです。

後継者が新しい事業やシステムを導入して会社を発展させていくのはよいことですが、根本となる経営理念を共有しておかなければ、単に会社を混乱させるだけに終わる恐れもあります。

経営理念は経営者自身にしか分からない部分もあるので、現経営者が後継者とじっくり話し合って理解させることが大切です。

3.会社の経営状態が安定している時

後継者はいくら優秀でもその会社を経営するのは初めてなので、最初のうちはどうしてもミスや混乱が起こることがあります。一般に、経営者が変わった直後は会社の業績が悪化しやすい傾向があるともいわれています。

よって、事業承継の計画を始めるタイミングは、会社の経営状態が安定している時のほうがよいということになります。

また、経営状態が安定しないタイミングで現経営者が辞めてしまうと、社員からみると逃げたように感じてしまうこともあります。社員のモチベーションを保つという意味でも、経営が安定しているタイミングを図るのが大切です。

【関連】事業承継を成功させるための後継者選び

事業承継を成功させるには?

事業承継を成功させるには?

事業承継は、後継者教育も含めると5年から10年かかる大変な作業ですが、それだけの時間と労力をかけても失敗してしまうこともあります。

事業承継を必ず成功させる方法はないので、できるだけ失敗しないように事業承継のポイントを押さえて手続きを行っていくことが大切です。

事業承継を成功させるためのポイントとしては、次の5つが挙げられます。これらのポイントを踏まえて事業承継を行えば、不要な失敗を回避しやすくなるでしょう。

【事業承継を成功させるには】

  1. 事業承継は最長10年計画で考える
  2. 後継者の意思が大切
  3. 自社の業種や業態の需要などを分析する
  4. 引退する意思を明確に示して進める
  5. 適切な専門家に相談する

1.事業承継は最長10年計画で考える

中小企業庁が公開している「事業承継ガイドライン」によると、事業承継に必要な期間は5年から10年とされています。

これは非常に長く思えますが、後継者教育に数年間かかり、さらに事業承継後に後継者が仕事に慣れるまで、前経営者がサポートする期間が数年間あると考えると妥当な期間だといえるでしょう。

事業承継は、最長で10年ほどかかるものだという前提で計画を立てていくことが、成功させるための重要なポイントです。

10年計画ということは、現経営者が60歳前後、後継者が30代半ばから後半になったあたりで、事業承継計画を考え始めなければならないことになります。

2.後継者の意思が大切

経営者として会社を背負うことは、大変な精神力と覚悟を必要とします。実際、子供には苦労をさせたくないという理由で、事業承継せず廃業を選択する経営者もいます。

事業承継を成功させるには、後継者にその意思が十分あり、覚悟とやる気を持っていることが必要です。

特に、経営が不安定な会社や、成熟産業・衰退産業で大きな事業拡大が望めない会社では、後継者は何度も危機に直面する可能性があります。

それを乗り越えてでも後継者になりたいと思える意思がなければ、事業承継を成功させることは難しいでしょう。

3.自社の業種や業態の需要などを分析する

事業承継を成功させるには、自社の業種や業態の需要などを分析して、今後の経営の指針を立てておくことが大切になります。

経営者であれば自社の状況や業界動向は把握しているはずですが、事業承継のためにあらためて分析することで、今まで気が付かなかった需要がみえたりするだけでなく、後継者と認識を共有するのにも役立ちます

4.引退する意思を明確に示して進める

新社長の就任後しばらくは、前社長が会長や顧問などの役職で会社に残り、新社長が慣れるまでサポート役にまわることもあります。

しかし基本的には、後継者が事業承継で新社長となったら前経営者はすみやかに引退するべきでしょう。後継者を信頼せず、いつまでも経営に口出ししていては会社が混乱を招く恐れもあります。

現経営者が事業承継後に引退することをはっきりと示しておくことで、後継者や社員がスムーズに業務を行えるとともに、本格的に事業承継が行われる意識を会社全体にもたらすことができます

5.適切な専門家に相談する

事業承継は経営者一人で抱え込んでもなかなかうまくいかないことが多く、日々の業務と並行して事業承継の準備を行うのは精神的負担が大きすぎます。また、事業承継が初めての経営者にとって、適切なタイミングがいつなのか掴むのは難しいこともあるでしょう。

事業承継を成功させるためには、適切な専門家に相談してサポートを受けながら進めていくことが大切です。

どの専門家に相談するかは個々によって変わりますが、親族や社員への事業承継の場合は、付き合いのある金融機関や会計士・税理士、または商工会議所などの選択肢があります。

M&Aで事業承継する場合は、M&Aを専門に取り扱うM&A仲介会社を利用するのがおすすめです。M&A仲介会社は相談料が無料のところが多いので、親族を後継者にする予定でいるがM&Aも気になるといった、気軽な相談を持ちかけることもできます。

事業承継計画書の作成は必要?

事業承継計画書の作成は必要?

事業承継計画書とは、事業承継をどのようなスケジュールで進めていくかを記したものです。

書き方に決まりはありませんが、中小企業庁が公開しているひな形では、10年ほどの期間を年単位で区切り、後継者教育や株式の保有割合をどうしていくかなど、大まかなスケジュールを記入していきます。

事業承継計画書は必ず書かなければならないわけではありませんが、書かないメリットは何もないので、必ず書いておくようにしましょう。

さらに、事業承継税制で相続税を100%猶予してもらうためには、事業承継計画を作成しなければならないと定められているので、事業承継税制を利用するなら事業承継計画書の作成は必須だといえます。

事業承継は税金対策も同時に考えるべき

事業承継は税金対策も同時に考えるべき

事業承継では株式や事業資産を相続・贈与または売買するので、それにともない相続税や贈与税、所得税などがかかります。

特に、中小企業の株式はほとんど非上場の譲渡制限株式であるため、現金化するのは簡単ではありません。そのため、株式を現金化して税金を払うことはできず、税金を別途工面しなければならないこともあります。

せっかく何年もかけて能力のある後継者を育てたのに、税金が払えず事業承継が頓挫するケースもみられるため、事業承継を行う際はタイミングだけでなく税金対策も考えておかなくてはなりません

事業承継の税金対策として最も有効といえるのは、事業承継税制を活用することです。事業承継税制とは、事業承継を行う際に相続税や贈与税を猶予・免除できる制度で、一定の条件を満たすことで利用することができます。

M&Aによる事業承継の場合は、株式や事業資産の譲渡による所得税や法人税を考えていくことになります。個人への株式譲渡の所得税は一律で20.315%なので、事業譲渡の所得税や法人税より安くなることがあります

【関連】事業承継税制とは?事業承継税制の要件やメリット・デメリットを解説

事業承継にお悩みならM&A仲介会社への相談がおすすめ

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まとめ

まとめ

事業承継のタイミングは遅くなりすぎる傾向があり、早めの対策を心がけることが成功のポイントです。

後継者が43歳くらいの時に事業承継すると満足度が高くなる傾向があり、このデータにもとづくと、後継者が30代後半くらいの時に後継者教育を検討し始めるのがよいタイミングだと考えられます。

これを基準として、個々の会社の事情も勘案するなどして、適切なタイミングを探っていくとよいでしょう。

【事業承継の種類】

  1. 親族内事業承継
  2. 親族外事業承継
  3. M&Aによる事業承継
【事業承継の計画をはじめる3つのタイミング】
  1. 後継者がまだ若い時
  2. 後継者が育っている時
  3. 会社の経営状態が安定している時
【事業承継を成功させるには】
  1. 事業承継は最長10年計画で考える
  2. 後継者の意思が大切
  3. 自社の業種や業態の需要などを分析する
  4. 引退する意思を明確に示して進める
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