2020年11月25日更新事業承継

事業承継補助金とは?採択率やM&Aでの活用を解説

事業承継補助金は、中小企業を支援する目的で支給されます。補助金を得るには厳正な審査を経る必要があり、綿密な計画が必要なので、会計士や税理士といった専門家に相談し、サポートを得るようにしましょう。事業承継補助金の目的、対象、採択基準からメリット・注意点までご紹介します。

目次
  1. 事業承継補助金とは
  2. 事業承継補助金の目的と募集要項
  3. 事業承継補助金の補助対象・採択基準
  4. 事業承継補助金のスキーム  
  5. 事業承継補助金のメリットと注意点
  6. M&Aに役立つ事業承継補助金
  7. 事業承継補助金の採択率
  8. 事業承継補助金活用のために専門家に相談
  9. まとめ
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事業承継補助金とは

事業承継補助金とは

事業承継補助金とは、中小企業の事業承継またはM&Aの際に経済産業省(中小企業庁)から出る助成のことです。後継者問題が叫ばれる中、少しでも事業承継の負担が減らせるよう目的をもって実施されているものです。

後継者選びや今後の事業展開を考えている人にとって、重要な支援の一つにもなる事業承継補助金ですが、誰でも採択されるというわけではありません。申請には一定の条件が伴い、採択率も1割程度と言われております。

本記事では事業承継補助金の目的と、過去実際にあった募集要項・条件・採択率・注意点などをご紹介します。残念ながら今現在、募集中の中小企業庁及び自治体の事業承継補助金はありません。また今後いつ新たな募集が開始されるとも言い切れません。

詳細に関しては、中小企業庁や各自治体のサイトにある補助金関連項目をこまめにチェックするとよいでしょう。事業承継や新たな事業の立ち上げをご検討であれば、必要経費がいくら、どの範囲で補助金で賄えるのか、事前に理解を深めておきましょう。

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事業承継補助金の目的と募集要項

事業承継補助金の目的と募集要項

目的

事業承継補助金は元々「第二創業促進補助金」と呼ばれていましたが、平成29年度より現在の名称になりました。事業承継補助金の目的は、中小企業が事業承継や創業などを実行する際にかかる費用を軽減することで、日本の経済を活性化させようというものです。

具体的な目的として「経営者の交代等事業引継ぎを促進すること」及び「後継者による新商品開発など新たな取り組みを支援すること」の二点が定められています。つまり、事業承継等の理由で方向転換を図る中小企業を応援するものです。

募集要項と対象

「事業を新たに後継者に引き継がせる」「新たな事業に挑戦する」といった会社を一新させたい経営者にとって、事業承継補助金は魅力的です。しかし、事業承継補助金は厳正な審査を通過し、採択された中小企業のみに与えられます。

平成29年度の事業承継補助金の対象となった企業は、応募総数517件に対し採択総数65件。採択率は約13%にも満たない結果となりました。対象となるのは、特定の期間内に経営革新や事業転換のために事業承継を実施した、あるいは行う予定の中小企業に限られます

また、一口に中小企業といっても全ての中小企業が対象とはなりません。他社との取引関係や需要に合った商品提供・サービス・雇用の維持や創出によって、地域に貢献しているとみなされた中小企業の中から支給対象が選ばれます。

今後の募集で条件が緩和されるかどうかは不明ですが、事業承継補助金の審査は非常に厳しいものであることは、あらかじめ認識しておいた方がいいでしょう。

対象となる費用

事業承継補助金の対象となる費用は以下のものに限られます。

・事業に必要な官公庁への申請書類作成等にかかる経費/店舗等の借入費/原材料費/設備費/知的財産権等の関連経費/広報費/会場借料費/外注費/在庫処分費/謝金/旅費/マーケティング調査費/原状回復費/委託費/解体費や処分費

支給金額

事業承継補助金には「【Ⅰ型】後継者承継支援型」と「【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援」があり、交付額は事業承継の形式や目的等によって変わります。

【Ⅰ型】後継者承継支援型に該当する経営革新などに取り組んでいる中小企業の場合は、補助上限額が150万円以上から200万円以下となります。小規模事業者・従業員数が小規模事業者と同じ規模の個人事業主の場合には費用の補助率が3分の2以内となります。(下図参照)

Ⅰ型後継者承継支援型補助金の金額

出典:https://www.shokei-hojo.jp/docs/pdf/h30_shoukei_leaflet.pdf

そして【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援型に該当し、事業転換を実施する中小企業に対しては、設備への投資や販路の拡大・既存事業の廃業などに必要な経費が補助対象です。この場合に事業承継補助金は、補助上限額が450万円以上から600万円以下となります。

事業承継の際にかかった金額に対する補助率は、2分の1または3分の2が目安で、審査結果が上位の場合には3分の2となります。(下図参照)

Ⅱ型事業再編・事業統合支援型補助金の金額

出典:https://www.shokei-hojo.jp/docs/pdf/h30_shoukei_leaflet.pdf

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事業承継補助金の補助対象・採択基準

事業承継補助金の補助対象・採択基準

基本的には、後継者不在等によって事業継続が困難になることが見込まれる中小企業が事業承継補助対象となります。

また、対象は被承継者、承継者の間で事業の再編・統合を含む経営革新の取り組みを行った、または行う予定がある(M&A手法含む)者に限られます。具体的な条件は下記以降に記します。

補助対象の具体的な条件

補助対象は下記のとおりで、すべての条件を満たす必要があります。

  • 平成28年4月1日から平成31年(令和元年)12月31日迄の期間内に、事業承継(M&A)を実施した取引や雇用により、地域に貢献する中小企業である
  • 経営革新や事業転換等、新たな取組を実施する
  • M&Aに関わる全ての承継者・被承継者が、日本国内で事業を運営する事業者である
  • 承継者は、「経営経験」「同業種に関する知識」「創業や承継に関する研修等の受講経験」のいずれかを持っている

承継者・被承継者は法人・個人いずれも該当し、会社に関しては「中小企業」としての条件を満たしておく必要があります。

【「中小企業」の条件】

事業の種類

出資金

従業員数

製造業

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

小売業

5千万円以下

50人以下

サービス業

5千万円以下

100人以下

旅館業

5千万円以下

200人以下

一部を除くゴム製品製造業

3億円以下

900人以下

ソフトウエア業・情報処理サービス業

3億円以下

300人以下

補助対象となる事業の内容

補助対象となる事業の内容は以下のとおりです。

・新商品の開発または生産/新役務の開発または提供/商品の新たな生産または販売の方式の導入/役務の新たな提供の方式の導入/その他の新たな事業活動で販路拡大や新市場開拓、生産性向上など、事業の活性化につながる取り組み
   

補助対象にならない事業の内容

補助対象にならない事業の内容は下記のとおりです。
・公序良俗に問題のある事業/公的な資金を用いるうえで社会通念をかえりみて不適切であると判断される事業(風俗など)/独立行政法人を含む国の他の補助金、助成金を活用する事業

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採択基準(令和元年度)

令和2年2月1日に発布された令和元年度における『「事業承継補助金」に係る事務局の公募要領』にて、採択基準は下記のとおりです。

・地域の新たな需要の創造や雇用の創出を図る

・我が国経済を活性化させる事業承継や事業再編・事業統合を促進する

・事業の独創性、収益性、継続性等を勘案し、政策的に支援する必要が認められる事業に限る

もちろん、先述の補助金の対象であることが大前提となりますのでご注意ください。

事業承継補助金のスキーム  

事業承継補助金のスキーム  

事業承継補助金が実際に支払われるまでのスキームは長いです。以下は平成29年度事業承継補助金の場合です。

  1. 5月から6月の間に募集が実施され、それから審査機関に入る
  2. 採択の場合は、7月には認定経営革新等支援機関から採択通知が届けられ、交付決定が伝えられる
  3. 8月からその年の大みそかまでに補助事業期間が設けられる
  4. 採択された企業は、補助事業期間中に予定していた事業承継を完了させる
  5. 事業承継が完了し、その実績報告を届け出たあとに認定経営革新等支援機関から確定検査が実施される
  6. 確定検査を無事にパスし、交付権が確定後翌年3月末までに交付金が支払われる
平成30年度(2018年4月〜2019年3月)のスケジュールもほぼ平成29年度(2017年4月〜2018年4月)と同じ形で実行され、令和元年度(2019年4月〜2020年3月)3月末に交付が完了となっています。(下図参照)

平成31年度の事業承継補助金交付までのスケジュール

出典:https://www.shokei-hojo.jp/docs/pdf/h30_shoukei_leaflet.pdf

平成29年度の事業承継補助金は、予算が11億円という小規模な予算で実施されており、審査が一層厳しくなっていた原因と考えられます。幸いなことに平成30年度からは事業承継補助金の制度をより盛り上げ、効果的なものにするためにも予算を20億に増額しました。

実際に採択された企業の幅が広がった模様です。多くの事業へサポートを提供する目的で実施されているのが事業承継補助金ですので、より多くの中小企業が事業承継補助金を得られるよう、今後も引き続き国が配慮をすると予想されるでしょう。

事業承継補助金のメリットと注意点

事業承継補助金のメリットと注意点

事業承継補助金は非常に魅力的で、採択さえされればメリットばかりとなります。当然ながら、採択されるためにはいくつかの注意点がありますので、メリットと注意点を把握した上で次期募集に備えましょう。

メリット

事業承継の費用を補助してくれる事業承継補助金は、条件さえ当てはまればぜひとも活用したいものです。メリットとしては、なんといっても「返済不要」という点にあります。

「事業をより新しい段階にステップアップさせたい」「事業の規模をより拡大したい」「後継者に託すことで企業をより長く存続させたい」「事業の整理を行うことで会社を立て直したい」という状況においては、非常に有益となります。

注意点

返済不要なので、募集がかかり次第すぐさま飛びつきたくなる事業承継補助金ですが、当然ながらに厳正な審査があります。よって、長期的な目線を持った綿密なプランを考える必要があります。また事業承継補助金には、5年後の事業継続率を90%に引き上げる狙いがあります。

つまり、補助を得た上で5年以上事業を継続できるプランを事前に準備しておかなければなりません。そもそも事業承継自体、補助事業期間(交付決定後約3カ月間)内に完了させなければなりません。確実に指定された該当の期間中に完了させられるよう、しっかり計画を練っておく必要があります。

なお、後継者に事業を譲る形での事業承継を実施する場合は、後継者の要件を満たしておく必要もあります。後継者は3年以上役員や経営者といった経営に関する職務経験を有し、創業や承継に資する研修を受けている必要があります。

この研修には、「産業競争力強化法に規定されている認定特定創業支援事業」、「地域創業促進支援事業」、「中小企業大学校が実施している経営者や後継者向けの研修」といったものがあります。後継者がいる場合は、この要件を満たしているかどうかも確認しておきましょう。

平成30年度以降の事業承継補助金は多少条件が緩和された可能性はありますが、どちらにせよ厳しい審査の実施が予想されます。審査をクリアするためにも、入念な準備を実施しましょう。

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M&Aに役立つ事業承継補助金

M&Aに役立つ事業承継補助金

先述のとおり事業承継補助金には、M&Aを契機に経営革新などを行う方を支援する「【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援型」があります。事業承継M&Aの、買い手側において役立てることができる補助金です。合併、会社分割、事業譲渡、株式交換・株式移転、株式譲渡などの取り組みが対象となります。

M&A自体には一定のコストがかかり、M&A仲介業者のような専門家の力を借りるとなれば、費用的負担は決して少なくありません。事業承継補助金の採択率も決して高くありませんが、採択されることができれば、より円滑に事業承継M&Aを進められるチャンスとなります。

M&Aの場合には売買契約次第になり、交渉の際は専門家に依頼するのが一般的です。M&A総合研究所では、M&Aに豊富な知識と経験を持つプロが業界最安値水準でM&Aをフルサポートしています。M&Aも視野に入れている場合はぜひ一度お気軽にご相談(無料)ください。

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事業承継補助金の採択率

事業承継補助金の採択率

事業承継補助金の採択率は決して高くありません。平成29年の事業承継補助金の採択率は約13%と、応募した会社の1割ほどしか補助金を獲得できていません。公募を長年行っている補助金は採択率が低下しやすい傾向にあり、事業承継補助金もその例に漏れないといってもいいでしょう。

しかし、だからといって悲観する必要はありません。事業承継補助金は平成30年度に大幅に予算が増額されており、それに伴って採択率が向上すると見られています。そもそも国は中小企業への取り組みを強化しており、事業承継補助金もその一環で行われています。

現在の事業承継補助金もそうですが、今後事業承継補助金が復活した際も以前よりも採択率が向上する可能性が高いです。

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事業承継補助金活用のために専門家に相談

事業承継補助金活用のために専門家に相談

事業承継補助金を活用したいのであれば、募集が開始決定となり次第すぐに専門家に相談をするのがおすすめです。この場合の相談先専門家は「公認会計士」「経営コンサルタント」「税理士」「弁護士」などです。そして事業承継補助金で採択してもらう確率を上げるうえで、重要なファクターとなるのが「経営計画書」です。

どれだけ将来を見通し、会社の内情を適切に把握した経営計画書を作成することが重要である一方で、具体的な数字を呈示しながら経営計画書を作成することは決して簡単ではありません。そのため実際に経営計画書を作成するのであれば、専門家のアドバイスを得ながら作成した方がいいでしょう。

公認会計士などの専門家は財務の知識を持っている上に、今までいろいろな会社を見てきた経験があるため、経営計画書を作成するうえで役に立つアドバイスを提供してくれます。

全ての専門家が補助金や事業承継へのサポートを行っているわけではありませんが、最近は中小企業の事業承継の重要性を鑑み、サポートする体制を整えている会社や事務所が増えています。実際に事業承継補助金を活用するのであれば、ぜひ専門家のサポートやアドバイスを得るようにしましょう。

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まとめ

まとめ

「事業承継補助金」とは後継者不在等によって事業継続が困難になることが見込まれる中小企業の新しいチャレンジを支援する助成のことです。事業承継補助金には「【Ⅰ型】後継者承継支援型」と「【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援」があり、交付額は事業承継の形式や目的等によって変わります

また「【Ⅱ型】事業再編・事業統合支援型」では、M&Aを契機に経営革新などを行う方を支援しています。事業承継M&Aの、買い手側において役立てられる補助金です。

中小企業にとって事業承継補助金は「返済不要」で非常に有益なものですが、採択率は高くありません。そのため「公認会計士」「経営コンサルタント」「税理士」「弁護士」などといった専門機関に相談し、採択率をより引き上げることをおすすめします。

ただ、現時点で事業承継補助金の募集はすでに終了しており、今後またいつ新たな募集が開始されるとも言い切れません。詳細に関しては、中小企業庁や各自治体のサイトにある補助金関連項目をこまめにチェックするとよいでしょう。

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