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2021年4月23日更新事業承継
事業承継アドバイザーとは?合格率や難易度、問題集をご紹介
事業承継アドバイザーとは、事業承継に関する知識を持ったスペシャリストのことです。事業承継アドバイザーになるには、資格を取得する必要があります。この記事では、事業承継アドバイザーになるメリットや、事業承継アドバイザー試験の難易度・試験問題などを解説します。
事業承継アドバイザーとは?
企業や個人事業主に対して事業承継に関する知識や有益なアドバイスを与えるのが、事業承継アドバイザーの持つ役割です。最近では、多くの中小企業が後継者不足に悩まされており、事業承継を検討する企業が増加しています。
超高齢社会である事実を踏まえると、事業承継を実施するケースは今後も増加することが考えられます。もしも後継者が見つからず事業承継が不可能となり、廃業に追い込まれてしまう企業も少なくありません。地域を支える企業が廃業してしまえば、その地域に大きな痛手を与えてしまいます。
また、企業特有の貴重な人材や技術が失われてしまうおそれもあります。このような状況で、M&Aによる事業承継を通じて、会社の存続を試みるケースが増えているのです。そのため、事業承継に関する知識は、今後さらに求められるはずです。
そもそも事業承継は、単なる相続とは異なります。つまり財産や資産だけでなく、事業の理念・人材・販路・取引相手との関係・企業風土といった全てを承継します。そのため、クライアントの要望に応えつつ、適切な事業承継プランを設計し実施する手腕・知識が求められるのです。
以上のことから、事業承継アドバイザーのニーズは今後も高まると考えられます。とりわけ将来的にM&Aや事業承継に携わる可能性が高い人であれば、事業承継アドバイザーの資格は、取得しておいて損はありません。
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事業承継アドバイザーになるメリット
事業承継アドバイザーの資格を獲得するメリットは、以下の2つです。
- 事業承継アドバイザーの肩書きが得られる
- 事業承継の知識が身につく
(1)事業承継アドバイザーの肩書きが得られる
はじめに、事業承継アドバイザーという肩書きを得ることができます。経営者にとって、事業承継やM&Aには不安が多いものです。事業承継やM&Aの経験がなければなおさらです。会社によっては、会社の存続を左右する一世一代の意思決定ともなります。
したがって会社の命運を託す大事な相手として、信頼できる人物を選びたいと考えるのが一般的です。そこで事業承継アドバイザーの肩書を示すことで、有益なアドバイスができる証となるため、事業承継の知識に関する信頼度をアピールできます。
このような信頼度の高い証があることで、経営の悩みを持っている経営者が相談しやすくもなります。
(2)事業承継の知識が身につく
事業承継アドバイザーの資格学習をこなせば、法務・税務・企業価値評価・事業承継アドバイス・戦略的承継対策をはじめとする事業承継やM&Aに関する幅広い知識が学べます。これらの知識は、もちろん実務でも役立つのです。
そのため、将来的に経営者になりたいと考えている人にとっても、有用となる情報が豊富にあります。事業承継やM&Aで必要となる、事業や資産の価値を正確な判定方法や、企業理念・風土・人材をしっかり引き継がせるためのノウハウを学べるためです。
将来的に事業承継やM&Aの実施が考えられるならば、事業承継アドバイザーの資格学習は非常に有用といえます。
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事業承継アドバイザー試験の種類
事業承継アドバイザーに関連する試験は、以下の3種類あります。
- 事業承継アドバイザー認定試験(BSA)
- 事業承継アドバイザー3級試験
- 金融業務2級試験
(1)事業承継アドバイザー認定試験(BSA)
事業承継アドバイザー認定試験(BSA)は、金融検定協会によって運営されている資格試験です。金融検定協会とは、主に金融機関の職員向けの資格を運営している団体です。金融機関の職員における、事業承継に関するアドバイスの能力向上を目指して創設されました。
なお、事業承継アドバイザー(BSA)認定試験は、5択問題が50問という問題構成です。合格基準は100点中60点以上とされているものの、「試験結果を踏まえて試験委員会で最終決定する」というただし書きがあるため、注意が必要です。
試験時間は150分と設定されていて、試験は毎年2回(5月・11月)に実施されています。
試験概要は、以下のとおりです。
- 運営:金融検定協会
- 問題構成:5択問題が50問
- 合格基準:100点中60点
- 試験時間:150分
- 試験日:毎年2回(5月・11月)
- 費用:7400円(税込)
事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の難易度と合格率
後述する事業承継アドバイザー3級試験や金融業務2級試験と比較すると、内容が実務寄りとなっています。事業承継アドバイザー(BSA)認定試験は暗記で回答できる問題内容のみではなく、実務上の理解を求める問題が多くあります。
テキスト学習のみでは理解が困難なら、講座を受講すると良いでしょう。
その講座とは、事業承継アドバイザー(BSA)認定試験専用の講座です。講座学習期間は3ヶ月設定されていますが、これを済ませることは試験対策準備として非常に有効といえます。
合格率は、受験者数が少ないため、年度により差が生じていますが、平均するとおよそ55%程度です。講座を受講しつつ、問題集をしっかりと解くことで合格へと近づきます。問題集やテキストは丸暗記ではなく、しっかりと理解しながら進めることが大切です。
事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の出題内容
事業承継アドバイザー認定試験(BSA)は、選択問題のみで構成されています。記述式問題が含まれる事業承継アドバイザー3級と比較すると難易度が落ちるイメージを持つかもしれませんが、出題内容が非常に幅広いため、油断は禁物です。
実務寄りの出題が多いため、暗記だけでは対応できない問題が多いです。
主な出題内容は、以下のとおりです。
- 法務(相続法務・経営承継円滑化法など)
- 税務(相続税・贈与税など)
- 企業価値評価(デューデリジェンスなど)
- 事業承継アドバイス(後継者がいないケースなど)
- 戦略的承継対策(M&Aなど)
(2)事業承継アドバイザー3級試験
事業承継アドバイザー3級試験は、経済法令研究会によって運営されている資格試験です。経済法令研究会とは、銀行員が受験する各種銀行業務検定試験を運営している団体です。銀行員における、事業承継の相談に関する対応力向上を目指して創設されました。
事業承継アドバイザー3級は、2016年に新設された試験です。試験の歴史が浅いこともあり、試験難易度が安定していないことが特徴といえます。試験内容に関する情報が比較的少ないため、対策が難しいです。
事業承継アドバイザー3級は、4択問題が25問・事例付きの4択問題が10問・記述式問題が3問という問題構成です。合格基準については100点中60点以上とされているものの、合否の最終決定は試験委員会によってなされるただし書きがあるため、合格基準はあくまでも目安です。
試験時間は180分と長めに設定されており、試験は毎年10月に行われます。
試験概要は以下のとおりです。
- 運営:経済法令研究会
- 問題構成:4択問題25問・事例付き4択問題10問・記述式問題3問
- 合格基準:100点中60点以上
- 試験時間:180分
- 試験日:毎年1回(10月)
- 費用:4400円(10%税込)
事業承継アドバイザー3級試験の難易度と合格率
事業承継アドバイザー3級試験の難易度は極端には高くないものの、難易度にまだバラつきがあります。
実際、2016年に行われた第1回試験の合格率を見ると50%前後と比較的獲得しやすかったものと見られます。しかし、2017年の第2回試験の合格率を見ると30%程度にまで落ち込んでいるため、試験の難易度が上がったことがわかります。
合格基準が60点以上であり、比較的容易なイメージを持つかもしれませんが、今後も継続して難易度が高くなっていけば注意が必要です。合格の最終的判断は、試験結果の傾向を見つつ、試験委員会によって下される形式が取られています。
合格率は、その年度の全体的な結果に少なからず影響されるとみて良いです。また、過去問題集・参考になるテキスト・試験傾向などの情報について、他の試験と比較すると不足しているため、注意が必要です。
上記の理由から、事業承継アドバイザーの資格取得に向けた対策として、現状では自力で学習するのが基本となります。試験傾向を網羅しつつ、適切な知識を効率的に身につけていくよう心がけることが大切です。
事業承継アドバイザー3級試験の出題内容
事業承継アドバイザー3級の試験には、選択問題と記述問題があります。選択問題の点数は70点、記述問題は30点という点数配分です。合格ラインは60点といわれているため、6割以上の点数を獲得すれば、合格はほぼ確実です。
点数の基準だけを見ると比較的に簡単なように聞こえますが、記述問題が落とし穴となりやすいです。記述問題では、事業承継の正確なフローや論点を問われます。とはいえ、専門的に高度な知識までは問われないため、ある程度網羅的に理解することを意識すると良いでしょう。
主な出題内容は、以下のとおりです。
- 事業承継の基本知識(承継方法の種類など)
- 事業承継と金融実務(取引先の現状把握と課題認識など)
- その他関連知識
なお試験には、相続税額や、相続時精算課税事例に関する計算問題も出てきます。計算問題は、プロセスさえ押さえておけば高い確率で正解できる問題です。計算方法をしっかりと覚えておくことをおすすめします。
もしも事業承継に関する知識や、税務・法務に関する知識をすでに持っているならば、現段階で事業承継アドバイザー3級を目指すことができます。問われる内容は、ファイナンシャルプランナーなど他の資格と重なる分野もあり、延長線上の知識で対処できる可能性も高いです。
たとえ事業承継アドバイザーに特化した問題集でなくとも、他の資格の問題集や事業承継に関するハウツー本で知識を補うことができます。
(3)金融業務2級試験
金融業務2級試験は、金融財政事情研究会(金財)によって運営されている資格試験です。金財では、金融機関の役割を踏まえた金融業務能力検定を実施していますが、なかでも事業承継に関する資格試験は、金融業務2級(事業承継・M&Aコース)と呼ばれています。
金融業務2級は、2017年まで「金融業務能力検定事業承継・M&Aエキスパート試験」という名称でした。しかし、2018年度からは「金融業務2級事業承継・M&Aコース」という名称で試験が実施されています。試験内容は、以前のものとほぼ変わっていません。
WEB上の試験で受験機会が多く与えられており、比較的気軽に受験できる特徴があります。試験構成は、正誤解答が10問と4択問題が30問設けられています。試験時間は100分間であり、100点中60点以上が合格基準とされています。
試験概要は以下のとおりです。
- 運営:金融財政事情研究会(金財)
- 問題構成:正誤解答10問・4択問題30問
- 合格基準:100点中60点以上
- 試験時間:100分
- 試験日:毎年不定期でWEB上にて配信開始
- 費用:7700円(10%税込)
金融業務2級試験の難易度と合格率
事業承継アドバイザー認定試験と比較すると、基礎知識固めに特化した内容です。難易度自体は、前述した2つの資格試験と比較しても高いものではありません。専用の試験対策問題集があり、繰り返し学習することで合格を目指せます。合格率は50%から70%程度とされています。
これは、本試験で対策問題集と似たような問題が多く出題されるためです。とはいえ、専門的用語が頻繁に登場し、問題文の理解が難解なこともあるため、暗記のみでの合格は困難といえます。問題集でわからない箇所の解説を読み込み、知らない用語を調べることが合格の近道です。
金融業務2級試験の出題内容
金融業務2級試験は、選択問題のみで構成されています。記述式問題が含まれる事業承継アドバイザー3級のように記述式問題が含まれないため、難易度が多少落ちたと感じる受験者も少なくありません。
主な出題内容は以下のとおりです。
- 事業承継関連税制
- 事業承継関連法制
- M&A基礎知識・関連会計
- M&A関連法制
- 総合問題など
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事業承継アドバイザー試験の問題集
ここまで、事業承継アドバイザーに関する3種類の試験について紹介しました。これらの資格を獲得するためには、問題集を活用した学習が欠かせません。そこで、事業承継アドバイザー試験に向けた主な問題集(講座を含む)を試験ごとに紹介します。
- 事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の問題集
- 事業承継アドバイザー3級試験の問題集
- 金融業務2級試験の問題集
(1)事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の問題集
はじめに事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の代表的な問題集を2冊紹介します。
事業承継アドバイザー講座テキスト
事業承継アドバイザー認定試験に対応したテキスト形式の通信教育講座です。3ヶ月間の通信講座であり、3冊のテキストで学習し、3ヶ月間で3回添削してもらえます。
実際の試験は講座の内容に沿って出題されるため、確実に合格を狙うのであれば受講すると良いでしょう。講座料は14,666円(税込)です。
事業承継アドバイザー検定試験模擬問題集
事業承継アドバイザー認定試験(BSA)の学習をするときの必需品といえるのが、事業承継アドバイザー検定試験模擬問題集です。事業承継アドバイザーの実際の試験に対応した模擬試験が掲載されていて、本番に忠実な学習をすることができます。
事業承継アドバイザー検定試験模擬問題集は、定期的に改訂されており、最新の試験傾向を踏まえたうえで出版されるため、直近の事業承継アドバイザーの試験にしっかりと備えることができます。書店だけでなく、ネットでも購入することができるため便利です。価格は2,444円(税込)です。
(2)事業承継アドバイザー3級試験の問題集
次に、事業承継アドバイザー3級試験の代表的な問題集を2冊紹介します。
営業店の事業承継支援コース
営業店の事業承継支援コースは、経済法令研究会が行う事業承継アドバイザー3級対策の通信講座です。事業承継アドバイザー講座と同じく、3ヶ月間の通信講座であり、3冊のテキストで学習し、3ヶ月間で3回添削が受けられます。
講師から添削を受けつつ理解度を確認しながら学習を進められるので、独学に不安がある場合は活用すると良いでしょう。受講料は13,860 円(税込)です。
事業承継アドバイザー3級問題解説集
経済法令研究会が発行する公式問題集です。これまでの試験において実際に出題された過去問題が収められています。詳しい解説も付属しているので、学習に便利です。
毎年最新版が発行されており、傾向の変化に対応するには、最新版の問題集を購入することが大切です。価格は2,970円(税込)です。
(3)金融業務2級試験の問題集
続いて、金融業務2級試験の代表的な問題集を2冊紹介します。
金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験問題集
金融業務2級 事業承継・M&Aコース試験問題集は、金融財政事情研究会が発行する公式問題集です。実際の金融業務2級試験で出題可能性の高い項目がピックアップされ、重点的に収録されています。基本的に1ページで内容が完結するよう構成されており、理解しやすいです。
他の問題集同様に、毎年最新版が発行されているため、購入するときは最新版の問題集を選ぶと良いでしょう。価格は1,980円(税込)です。
事業承継のツボとコツがゼッタイにわかる本
厳密にいうと問題集ではないものの、事業承継について知識を蓄えたいという人におすすめです。実際に事業承継を行う人に向けて書かれている本ですが、中小企業診断士や税理士のようなプロでも参考にするほど実践的な内容です。
わかりにくいところや疑問点が出やすい箇所を網羅しているため、事業承継に対する大まかな理解を深めるうえで役立ちます。読みやすく、事業承継のことを全くわからない人でも理解しやすい内容になっているのも魅力的です。
この本は、金融業務2級試験のためだけでなく、将来的に訪れる事業承継のために読んでおいて損はありません。専門家に相談する際にも相談したい内容の要点をまとめやすくなるので、予習に最適といえます。価格は1,980円(税込)です。
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まとめ
事業承継アドバイザーに関して紹介しました。M&Aや事業承継の事例は、ますます増加していくことが予想されるため、事業承継アドバイザーに対する関心度も高まっています。
事業承継アドバイザーは、キャリアアップ、もしくは知識を身につけるといったどちらの目的にも役立つ資格であるのため、受験を検討してみることをおすすめします。なお、事業承継アドバイザー以外の資格では、公認会計士などの士業がM&Aに強く、相談相手としては申し分ありません。
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