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2021年5月5日更新事業承継
事業承継センターとは?後継者塾や事業承継士資格取得講座について解説
事業承継センターを利用すれば、分野の異なる専門家を個別的に利用するよりもスムーズに事業承継を済ませられる場合があります。この記事では、事業承継センターが運営する後継者塾・セミナー・事業承継士資格取得講座などの内容を詳しく解説します。
事業承継センター
事業承継やM&Aに関する情報収集をしていると、事業承継センターという組織について耳にする機会があります。この記事では、事業承継センターについて幅広く解説していきます。
事業承継センター(正式名称:事業承継センター株式会社)とは、「事業承継の支援により、後継者不足・後継者の能力不足などを理由とする会社消滅を防いで社会的資産を守る」ことを目的に掲げる組織です。事業承継に詳しい各業界の専門家集団によって設立されました。
事業承継センター株式会社は「事業承継センター」という名称について商標登録を済ませているほか、2013年7月10日には、経済産業省管轄の関東経済産業局によって経営革新等支援機関の認定を受けています。
もともと事業承継センターは、企業運営の専門知識・正確な企業評価能力を国に認められた専門家「中小企業診断士」が中心となり設立された会社です。経営革新等支援機関の認定を受けたことで、公的な支援機関としても国から認可されています。
事業承継センターの会社概要
事業承継センターの会社概要を以下の表にまとめました。
会社名 | 事業承継センター株式会社 |
本社所在地 | 〒105-0011 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館518 |
受付時間 | 9時〜18時(平日) |
電話 | 03-5408-5506 |
FAX | 03-5408-5507 |
資本金 | 1,000万円 |
代表取締役 | 金子 一徳 |
事業承継センターの事業内容
事業承継センターでは、事業承継に関する全般的な事業が展開されています。事業承継センターの大まかな事業内容は、以下のとおりです。
- 法人や個人の事業承継や相続に関する情報提供・資料作成
- 社長・社長の後継者・取締役・幹部社員・一般社員など階層ごとの研修や教育事業
- マーケティングの企画・立案・実施
- 資金繰り改善・経営改善計画の立案・資金調達支援・M&Aなどに関する業務
- データベースなどのシステム構築・ホームページ制作
- インターネット・DVD・紙媒体・音・映像などを使った出版事業
- 講演会・セミナーなどの開催
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事業承継の専門家
事業承継センターの特徴
事業承継センターは、地域プラットフォームとして認められた組織でもあります。地域プラットフォームとは特定地域における中小企業支援機関の連携体です。中小企業庁から認可を受けており、地域の中小企業・小規模事業者などを支援する目的を持つ組織です。
地域プラットフォームでは事業運営に詳しい専門家の派遣事業における窓口機能を担っているほか、構成機関の連携によって地域の中小企業・小規模事業者の経営を支援する取り組みを実施しています。
また、構成機関である商工会・商工会議所などの支援機関が企業の経営支援を実施するために必要な中小企業支援施策について情報提供を実施しています。さらには、企業支援をするポータルサイトの普及活動や、経営革新セミナー・ビジネスマッチングなどのイベント開催も実施しています。
連携体の中では、プラットフォーム内の連携強化・構成機関職員の支援能力向上などを目的に、連絡会議などを開催しています。事業運営に詳しい専門家の派遣を希望する場合、最寄りの地域プラットフォームに相談すれば、状況に適した専門家の選定・紹介を受けられます。
地域プラットフォーム窓口での派遣依頼だけでなく、オンラインでの派遣申請を行うことも可能です。
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事業承継センターの後継者塾
事業承継センターが提供する代表的なサービスに、後継者塾があります。後継者塾では、能力不足などで経営に不安を感じる後継者を対象に、経営者として必要な知識・ノウハウなどを提供しています。後継者塾を利用する具体的なメリットは、以下のとおりです。
- 実践的な経営知識を学べる
- 企業経営に必要な思考力を身に付けられる
- 経営者の仲間を見つけられる
後継者塾の講師陣は年間数100社の中小企業・零細企業の支援実績を持っており、経営ノウハウが集積しているだけでなく成功事例・失敗事例を実際に経験している専門家ばかりです。後継者塾の募集要項は、以下のとおりです。
開催内容 | 全11回講義(合計44時間)+夏合宿 |
開催日時 | 毎月第2土曜日(例外あり) |
開催時間 | 13時~17時 |
場所 | 東京都港区芝公園3-5-8 機械振興会館 会議室 |
対象者 | ・経営を引き継ぐ後継者 ・後継者候補の人 ・経営者になって間もない人 |
定員 | 20名 |
受講料 | 36万円(税別) |
事業承継センターの主催セミナー
事業承継センターでは、将来的に事業承継を実施する経営者・後継者に向けてさまざまなセミナーを主催しています。事業承継センターが主催する代表的なセミナーは、以下のとおりです。
- 事業承継入門セミナー
- 節税対策の活用アドバイス
- 事業承継市場の現状解説
- 事業承継計画書の作成講座
セミナーの多くは有料となっていますが、後継者塾の内容を紹介する無料ガイダンスも定期的に実施されているため、参加を希望する場合には積極的に利用すると良いです。
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事業承継センターの資格取得講座
事業承継センターでは、事業承継士・事業承継プランナーという2種類の資格取得講座が開設されています。ここからは、各講座の内容について順番に紹介します。
事業承継士資格取得講座
事業承継士とは、事業承継に関して深い知識を有していることを証明する資格です。一般社団法人事業承継協会によって、事業承継士の資格認定・更新が実施されています。事業承継士の資格を取得すると、以下のようなメリットを享受可能です。
- 事業承継の専門家としての信頼度が高まる
- 事業承継関係の仕事を紹介してもらえる
- 事業承継に関する最新情報を提供してもらえる
- 事業承継士の資格取得講座で配布された資料を自由に活用できる
事業承継士の資格を取得するには、事業承継士認定試験に合格したうえで事業承継協会に入会する必要があります。事業承継センターでは、事業承継士認定試験の合格を目指す講座が開設されています。受講料は30万円(税別)であり、自身の都合に合わせて受講日程・コースを選択可能です。
事業承継士資格取得講座の内容を紹介する無料ガイダンスが定期的に開催されているため、受講を検討する場合には積極的に参加すると良いです。
事業承継プランナー資格取得講座
事業承継プランナーとは、事業承継センターが運営する民間資格です。事業承継プランナーの資格を取得すれば、取引先など親しい関係にある経営者の事業承継に関する良き相談相手になれます。
事業承継プランナーの資格を取得するには、前提として事業承継センターが実施する講座の受講が求められます。そのうえで、事業承継プランナー認定試験に合格したうえで事業承継協会に入会する必要があります。
講座の受講料は5万5千円(税別)であり、WEB型・教室型という2種類から受講形態を選択可能です。最近は、日程に縛られず教室に足を運ぶ必要がないWEB型の受講形態に注目が集まっています。
事業承継センターのサービス・料金
最後に、事業承継センターが提供するサービス内容とその料金について紹介します。
- 事業承継コンサルティング
- 相続・税務・財務コンサルティング
- 事業計画策定支援
- 経営コンサルティング
- 財務デューデリジェンス
- 営業デューデリジェンス
- 労務デューデリジェンス
- 法務デューデリジェンス
- ITデューデリジェンス
- ものづくりデューデリジェンス
①事業承継コンサルティング
顧問契約の締結によって、事業承継センターのコンサルタント2名が、後継者支援・家族会議・株価対策まで幅広く実施するサービスです。具体的には、1名のコンサルタントが現社長をサポートしつつ、もう1名が後継者のサポートを実施します。
2名体制には、客観的判断・異なる意見を総合的に分析したアドバイスを受けられるメリットがあります。最低契約期間は原則として1年とされており、1ヶ月に1度コンサルティングが実施されます。最低費用は、月額20万円以上(税別)です。
②相続・税務・財務コンサルティング
顧問契約により自社の専属顧問として、営業の仕組み化・マーケティング・成果や過程の可視化を実現するためのアドバイスなどを提供するサービスです。
事業承継を検討する場合、主に企業の財務・資金繰りや借入れ対策・株価対策・保険活用・個人の相続・遺言書の作成支援など、資金にまつわる問題を包括的に相談可能です。
相続対策については、事業承継センターのパートナー税理士とともに効果的な株価計算・相続税算定方法などを検討しつつ、状況に適した相続プランを実現できます。最低契約期間は原則として1年とされており、1ヶ月に1度コンサルティングが実施されます。最低費用は、月額20万円(税別)です。
③事業計画策定支援
依頼すると、質の高い事業計画を作成するためのアドバイスが受けられます。自身の企業を詳細に把握できるほか、競合他社を分析しつつ市場環境を徹底的に解析・研究できます。享受できる具体的なメリットは、以下のとおりです。
- 従業員の能力を数値化・可視化できる
- 自社の戦力を分析・把握できる
- 自社の製品力・サービス力を客観的に分析できる
上記の分析・研究プロセスを経たうえで、「実行可能な事業計画書」や「日々見ているだけで達成を意識させる事業計画書」の作成に向けたアドバイスを受けられます。必要契約期間は3ヶ月〜6ヶ月とされており、会社訪問回数は10回です。費用は、120万円(税別)となっています。
④経営コンサルティング
経営指標の作成に向けたアドバイスを受けられるサービスです。顧問契約の締結により、自社専属顧問として企業経営を可視化してもらえます。最低契約期間は原則として1年であり、1ヶ月に1度コンサルティングが実施されます。最低費用は、月額20万円(税別)です。
⑤財務デューデリジェンス
企業の財務を可視化して、後継者が企業経営を速やかに遂行できるよう準備してもらえます。財務デューデリジェンスの必要期間は1ヶ月・訪問回数は3回・費用は15万円(税別)であり、以降で紹介する各分野のデューデリジェンスも同様の形が取られています。
⑥営業デューデリジェンス
経営者が直接把握しにくい営業現場を可視化して、後継者が企業経営をスピーディーに展開できるよう整備してもらえます。
⑦労務デューデリジェンス
賃金制度・退職金制度・考課制度・就業規則など労務法規類の法的チェックを実施して、後継者が企業経営を迅速化できるよう整備してもらえます。
⑧法務デューデリジェンス
企業の定款・取締役会規程・役員退職金制度などの各種規程類や、取締役会・株主総会の議事録作成の有無などを調べ、経営者の采配・慣習にある誤った認識や法的矛盾などを正すことで、将来の後継者が安定した企業経営を実現できるよう整備してもらえます。
⑨ITデューデリジェンス
社内のIT化の現状を調べて、IT化に取り組むべき箇所・実現させるべきソリューションを明確化することで、後継者が企業経営をスムーズに進められるよう整備してもらえます。
⑩ものづくりデューデリジェンス
作業マニュアル・生産計画・日程計画・作業別人員計画・作業命令の指示方法などをチェックして、自社の製造現場を可視化してもらえます。現場にある暗黙知を形式知に変えられて、後継者が企業経営を機動的に実施できるようになります。
以上、事業承継センターが実施するサービス・料金を紹介しました。事業承継センターで展開されるサービスを利用すれば事業承継にまつわる多くの課題を解決できますが、サービスの利用には多くの費用がかかるため計画的に利用すると良いです。
なお、事業承継時に企業を悩ませる課題の1つに、後継者不足が挙げられます。自社に相応しい後継者が存在しない場合、M&Aによる第三者承継を検討するのも効果的です。
M&Aを活用することによって後継者不足の問題を解決できるだけでなく、従業員の雇用維持が期待できるほか売却利益の獲得も見込めるなど、享受できるメリットは多いです。
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まとめ
事業承継センターを利用すれば、専門分野の異なる専門家を個別的に利用するよりもスムーズに事業承継を済ませられる場合があります。ただし、広い知識と高い専門性が期待できる反面で、利用には費用がかかるため、計画的に利用すると良いです。
費用を抑えてM&Aによる事業承継を済ませたい場合は、手数料面に強みを持つM&A仲介会社への依頼もおすすめします。要点をまとめると、以下のとおりです。
・事業承継センターとは
→「事業承継の支援により、後継者不足や後継者の能力不足などを理由とする会社消滅を防いで社会的資産を守る」ことを目的に掲げる組織
・事業承継センターの特徴
→地域プラットフォームとして認められた組織であり事業運営に詳しい専門家派遣事業の窓口機能を担っている
・事業承継センターの後継者塾
→能力不足などで経営に不安を感じる後継者を対象に経営者として必要な知識やノウハウなどを提供している
・事業承継センターの主催セミナー
→事業承継入門セミナー、節税対策の活用アドバイス、事業承継市場の現状解説、事業承継計画書の作成講座
・事業承継センターの事業承継士資格取得講座
→受講料は30万円(税別)であり自身の都合に合わせて受講日程やコースを選択可能
・事業承継センターの事業承継プランナー資格取得講座
→受講料は5万5千円(税別)でありWEB型と教室型の2種類から受講形態を選択可能
・事業承継センターのサービス
→事業承継コンサルティング、相続・税務・財務コンサルティング、事業計画策定支援、経営コンサルティング、財務デューデリジェンスなど
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株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。