M&Aとは?意味や動向とM&Aを行う目的・メリットなどをわかりやすく解説!
2024年4月12日更新会社・事業を売る
M&Aの会社売買の目的は?経営者や社員に与える影響や事例・案件一覧を詳しく解説【2024年最新】
M&Aの広がりと同時に復旧と後継者不足の発生により、会社売買は多くの企業間で行われています。そこで、会社売買が具体的にどのような取引を行い、どういった影響をもたらすのか、メリットやデメリット、注意点、事例などを解説します。
目次
会社売買とは
近年、会社売買が増加しています。会社売買の方法は、株式譲渡により経営権を移転するケースが大半です。株式会社では持ち株数が大きくなる程、株主総会で行使できる権限が強くなります。過半数で普通決議の可決、3分の2以上で特別決議の可決が可能になるのです。
したがって、会社売買(株式譲渡)では、少なくとも過半数の株式の取得を目的とし、実際には全株式取得するケースが広く行われています。株式譲渡はM&Aの手法の1つですが、経営権を買い手に渡すという意味では、合併も会社売買の1つの手段といえるでしょう。
ただし、組織再編行為である合併の場合、売り手は買い手に吸収・統合されるため、法人格は消滅します。一方、株式譲渡は、会社の株主(経営者)が代わるだけで、会社組織はそのまま存続するのが特徴です。本記事では、会社売買=株式譲渡という前提で話を進めることとします。
会社売買のメリットとは
会社売買のメリットを紹介します。 会社売買において、売り手と買い手ではそれぞれメリットが違うため、売り手・買い手に分けて会社売買のメリットを確認しましょう。
売り手のメリット
会社売買における売り手の主なメリットには、以下のものがあります。
- 廃業コストを省ける
- 会社を存続できる
- 売却益が手に入る
①廃業コストを省ける
仮に廃業するとして、その際には廃業コストという出費があります。手続きなどの手間も面倒です。一方、会社売買であれば、廃業コストのような出費はなく、手続きは株式譲渡契約の締結だけですみます。
②会社を存続できる
昨今、日本の中小企業では後継者不在問題が顕著です。後継者不在により事業承継が困難で廃業危機にある中小企業が増えています。そこで会社売買を実施すれば、事業承継を実現し会社を存続できるのです。これにより、貴重な技術や知識、販路は維持されます。
また、従業員の雇用は守られ、買い手(新たな経営者)により経営の安定化も期待できるでしょう。
③売却益が手に入る
会社売買(株式譲渡)では、売り手の株主が対価を得ます。会社の全株式の売却であれば相応の金額です。老後の生活資金でも、新規事業の立ち上げでも、自由使途の資金として売却益が得られるのは、大きなメリットといえます。
買い手のメリット
会社売買における買い手の主なメリットは、以下のとおりです。
- 会社の規模を拡大できる
- 会社創業が楽になる
①会社の規模を拡大できる
会社売買を利用して規模拡大を図る会社は近年、増加しています。会社を成長させたいと考えている買い手にとっては、他社の技術、従業員、販路などを得られるのは非常に魅力的なメリットです。また、新しい事業をするうえでの土台作りとしても、会社売買は有用な手段となっています。
さらに、買い取った会社とのシナジー効果(相乗効果)が発揮されれば、会社のさらなる成長にもつながるのです。したがって、会社売買では、シナジー効果も意識しながら売り手を探すのがよいでしょう。
②会社創業が楽になる
会社創業が比較的、楽に実施できるのも、会社売買のメリットです。たとえば、資本金1千万円の休眠会社を5百万円で買い取れば、5百万円節約できたことになります。一定の社歴もあるわけですから、新設会社よりも周囲から信頼を得られやすいといえるでしょう。
ただし、過去の業績が赤字であった場合には、それも引き継ぐことになるので注意が必要です。
会社売買のデメリットとは
会社売買には、メリットもあればデメリットもあります。デメリットも売り手・買い手によって異なりますので、それぞれ詳しく見ておきましょう。
売り手のデメリット
会社売買における売り手のデメリットは、以下の2点です。
- 希望の金額で売れない可能性
- 会社売買自体が成立しない可能性
会社売買の買い手側も、一定の条件で臨んでいます。買い手の条件に見合っていなければ、売り手の希望額よりも低い金額での売買成立であったり、売買自体が成立しなかったりする可能性があるのです。
売り手としては、会社売買前に自社の価値を正確に把握し、業界の動向を把握したうえで、適切な希望額を考える必要があるでしょう。同時に、会社の弱みに磨き上げを行うことで自社の価値を大きくし、希望額で売却できる可能性を見い出せるようになります。
買い手のデメリット
会社売買における買い手の主なデメリットは以下の2点です。
- 経営リスク承継の可能性
- 経営統合プロセス(PMI)失敗の可能性
①経営リスク承継の可能性
会社売買(株式譲渡)は、会社を丸ごと買収する包括承継です。手続き面は簡便で良いのですが、簿外債務や訴訟リスクなど、経営にダメージを与える事象の存在を気づかず、引き継いでしまう可能性があります。これを極力、防ぐには、徹底したデューデリジェンスを実施するしかありません。
デューデリジェンスとは、売り手に対して行う精密監査のことです。財務・税務・法務・労務・IT・事業などの分野ごとに、士業などの専門家を起用して細かく調べ上げます。費用も手間もかかりますが、これを省略すると後日、大ダメージを負ってしまうかもしれません。
②経営統合プロセス(PMI)失敗の可能性
会社売買成立後、買い手は経営統合プロセス(PMI=Post Merger Integration)を実施します。この経営統合プロセスに失敗すると、会社売買時に想定していたシナジー効果の獲得が実現せず、業績拡大も暗礁に乗り上げかねません。
経営統合プロセスを成功させるには、事前に綿密で着実な経営統合計画を策定する必要があります。経営統合プロセスでは、管理・業務・ITシステム、人事評価制度、社内規定、企業風土などの円滑な融合を図らねばなりません。関連する売り手企業の情報も必要です。
実は、デューデリジェンスには、経営統合計画策定に必要な売り手企業の情報収集という役割もあります。この意味でも、デューデリジェンスの実施は非常に重要なのです。
会社売却は専門家に相談
会社売買におけるデメリットを極力、排除し、円滑に交渉、手続きを進めるには、M&A仲介会社など専門家のサポートを受けるのが得策です。相談先となる専門家選びでお悩みでしたら、M&A総合研究所にご連絡ください。
M&A総合研究所では、M&A・会社売買に豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが専任となり、相談時からクロージングまで会社売買をフルサポートいたします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしておりますので、M&A・会社売買をご検討の際には、お気軽にお問い合わせください。
M&Aにおける会社売買の動向
ここでは、M&Aにおける会社売買の動向について解説します。
- 市場規模推移
- 主な会社売買手法
①市場規模推移
ここ数年、M&Aの件数・取引金額はともに増加しています。1990年代は年間500〜1,000件程度だったものが、2000(平成12)年以降は急激に増加しているのです。リーマンショックの影響で一時的にM&Aの熱が冷めたものの、2012(平成24)年以降は再び活況を見せました。
2017(平成29)年には過去最高の件数を記録しており、M&Aのニーズは急激に高まっています。そして、数あるM&A手法の中でも、会社売買(株式譲渡)の件数は特に増加したのです。
会社売買が急増している理由については後述しますが、規模別に見ると大企業と中小企業(ベンチャー企業)で異なる傾向があります。大企業同士のM&A動向を確認すると、成約金額が減少傾向です。
大企業によるM&Aは、合併や会社分割などグループ再編や業界再編を目的に実施されるケースが多いのですが、成約金額の減少から、グループ再編や業界再編のニーズが一部では落ち着いてきたと推察されます。
一方、中小企業の動向を見ると、M&Aへのニーズが顕著に増加してきました。今後、事業承継やイグジット手段としての有用性が知れ渡るに伴い、会社売買のニーズはさらに高まると予想されます。
②主な会社売買手法
M&Aで会社売買を行う場合、最も使われている手法は「株式譲渡」です。売り手となる会社が、買い手となる会社に経営権を獲得できるだけの株式を取得させるものをさします。
株式譲渡は株式の売買だけで会社売買が完了するため、迅速かつ簡潔に会社売買が可能となり、利用する経営者は少なくありません。株式譲渡は会社売買の中でも、大企業や中小企業など、規模・業種を問わず多くの会社で用いられています。
M&Aには他にも当事者である会社同士が1つの会社に経営統合する「合併」や事業のみを売買する「事業譲渡」、「会社分割」といった手法もありますが、これらの手法は会社売買のみならず、グループ会社同士の組織再編のために行う場合も少なくありません。
昨今、大企業のグループでは、多くのグループ傘下の会社が株式譲渡や合併などによって経営統合したり、会社分割によって1つの事業が独立した会社になったりするケースもしばしばみられます。
会社売買が増加傾向にある背景
ここでは、会社売買が増加している背景をお伝えします。会社売買が近年増加傾向にある主な理由は以下の6つです。
- 2012年問題
- M&Aの普及
- 会社創業の手段として一般化
- 経営者のライフスタイルの変化
- 社員の処具
- 役員の処遇
①2012年問題
2012年問題とは、これまで経営者を務めていた団塊世代が引退し、後継者不在で会社が廃業になってしまう事態をさします。少子高齢化が進む日本では、2012年問題は切実な問題です。中小企業の数は全体の99%を占めており、廃業の増加は日本経済の死活問題といえます。
かつて、中小企業では、経営者の子どもを中心に親族が後継者となって事業承継するのが一般的でした。しかし、少子化で子ども自体の数が減り、また、価値観の多様化によって必ずしも子どもが親の後を継がなくなったことで、後継者不在の中小企業が増えてしまっています。
②M&Aの普及
M&Aによって会社の規模を拡大する経営戦略が普及しているのも、会社売買が増加している要因の1つです。M&Aで会社を買収すれば、下記を獲得できます。
- 資産
- 技術
- 従業員
- 販路
また、他の地域や海外に進出するうえでも、M&Aを活用した会社売買は有効な手段です。しかし、M&Aはさまざまな手法があるので、自社の目的に合ったものを選ばねばなりません。したがって、M&Aを行う際は、M&A仲介会社など専門家のサポート下で進めるとよいでしょう。
③会社創業の手段として一般化
近年は、会社売買を活用して、会社を創業する事例も増えています。この場合、売買の対象は「休眠会社」です。休眠会社とは、何らかの事情によって事業が停止している状態の会社をさします。
創業資金を抑えられるだけでなく、設備を整える手間も省けるケースもあるでしょう。また、社歴も引き継げるので取引相手からの信頼も得やすくなるのがメリットです。
④経営者のライフスタイルの変化
会社売買が増加している理由の1つに、経営者のライフスタイルの変化もあります。 具体的には、経営者が40~50代に差し掛かったのを契機に会社を売却し、アーリーリタイアするケースが増えてきたのです。
アーリーリタイアであれば、後継者不在で気をもんだり、あるいは後継者教育に手間をかけたりする必要もなく、新たな経営者の引退するスタイルとして注目を集めています。
⑤社員の処遇
会社を売っても、契約などは変わりません。社員の雇用も変わらず続きます。
M&Aは従業員の雇用を維持する目的で行われる
会社を売っても、契約は変わらず、社員も雇用が継続されます。M&Aの際には、買収企業が売却企業の社員を受け入れることが多く、コスト削減のために行われることが多いです。
会社売却に伴う解雇は不当
会社売却しても、無理な解雇は禁じられています。買い手企業の意向で、社員の処遇が変わる場合もあります。社員の意向によって退職することもできます。
⑥役員の処遇
会社を売却しても、役員の勤務継続や勤務地不変が多いですが、引き下げや責任の削減などの可能性もあります。また、M&Aの際に役員が定年を迎えるケースもあり、退職慰労金は株主総会で決議されます。
前経営者と買い手企業の合意によって進められます。
会社売却の流れ
会社売却を進めていくには、以下の流れが一般的です。それぞれについて、詳しく解説していきます。
- 売却意思の発生
- 準備
- 相手先のソーシング・交渉
- 秘密保持契約の締結(NDA)
- 案件概要書(IMの提示)
- トップ面談
- 基本合意書の締結
- 買い手によるデュー・ディリジェンスの実施
- 売り手・買い手間の条件交渉
- 株式譲渡契約の締結
- 株式譲渡の実行(クロージング)
1. 売却意思の決定
企業の譲渡に伴い、売却意思が生じることがあります。主な理由としては、「後継者不在」「事業の選択と集中」「不採算事業の精算」「負債の返済」などが挙げられます。
2. 準備
事前に必要な資料を準備しておけば、交渉が円滑に進むことでしょう。特に、過去三期分の決算書があれば、基本合意までの交渉が容易に行えるでしょう。
3. ソーシング・交渉
売却先を探すために、専門家(税理士や公認会計士など)、金融機関(地銀・信金など)、全国に設置された事業引き継ぎ支援センター、M&A仲介会社などを活用することができます。
4. 秘密保持契約の締結(NDA)
相手先が見つかった際、交渉を行う前に秘密保持の契約を締結することをお勧めします。本来非公開の情報を交渉でやり取りするため、相互の秘密保持の義務を負う契約を締結し、その後に交渉を開始します。
5. 企業概要書(IMの提示)
企業概要書(IM Information Memorandum)には、ノンネームシートには記載されていない、より詳細な企業情報が記載されています。買い手側はこの情報を元に、意向表明書などで想定価格や基本条件を売り手側に提示します。
その後、双方が交渉を進める意思が確認できれば、トップ面談へと移行します。
6. トップ面談
トップ面談は、細かい条件面を調整するよりも、企業文化や経営者の考え方を確認する重要な機会となります。M&Aの流れの中では、経営者同士が面会する機会が少ないため、お互いに理解を深める重要な時間です。
7. 基本合意書の締結
基本的な条件で双方が合意できれば、基本合意書が締結されます。それにより、譲渡価格や譲渡の意向を確認することが可能となります。
この時点では、買い手企業が、売り手企業の詳細な情報を把握しきれていないため、基本合意書は法的な拘束力を持たないことが一般的であり、双方とも法的な責務や賠償なく取引を中止できるとされています。
8. 買い手のデュー・ディリジェンスの実施
基本合意書が締結された後、買い手側からデュー・ディリジェンスが実施されます。これにより、売り手側から会計、税務、法務、事業に関する情報開示が行われ、それらを精査し、実態を把握し、潜在リスクなどを分析します。
この分析を元に、売却価格を算定します。
9. 売り手・買い手間の交渉
株式譲渡契約の締結を目指して、売り手と買い手の間で条件交渉が行われます。デュー・ディリジェンスの結果に基づき、以前に開示されていなかったリスクなどが明らかになった場合、譲渡価格の下げ要求が出る可能性もあります。
10. 株式譲渡契約の締結
両者間で合意が就かれた場合、株式譲渡契約が締結されます。この契約は、基本合意書とは異なり、法的拘束力を持つ契約となります。
11. 株式譲渡の実行(クロージング)
株式譲渡契約が締結された後は、売り手・買い手双方の履行義務を果たすために、デュー・ディリジェンスで確認したリスクを低減する行為や、買収資金の準備などを行う必要があります。そのため、実際の株式譲渡実行までに一定期間を設けるのが一般的です。
すべての条件が揃えば、株式譲渡が実行され、売り手側に譲渡代金が支払われます。
会社売買における企業価値評価の算出方法
会社売買の金額は買い手と売り手の交渉により決定するので、確固たる相場があるわけではありません。しかし、交渉の前提となる数値がなければ、買い手と売り手の主張の溝は埋まらないでしょう。M&A・会社売買では、この前提となる金額の算出をバリュエーション(企業価値評価)といいます。
バリュエーションには、実にさまざまで専門的な算定方法が確立されていますが、ここでは代表的な3つの算定法の内容を見てみましょう。
- 純資産法(コストアプローチ)
- DCF法(インカムアプローチ)
- マルチプル法(マーケットアプローチ)
また、以下の動画でも解説しておりますので、ぜひご覧ください。
①純資産法(コストアプローチ)
純資産法とは、貸借対照表に記載されている純資産(資産と負債の差額)を用いて、会社売買の相場を算出する方法です。コストアプローチという体系に分類されている純資産法では、時価純資産を用いるケースが大半となっています。
基本的には純資産額を会社売買の価額としますが、将来的な収益力(のれん)を評価する場合は、純資産に3〜5年分の営業利益を加算する方法です。客観的な相場を簡単に算出できるメリットがある一方で、将来的な収益力を十分加味できないデメリットもあります。
上記の性質から純資産法は、「社歴の長い企業」や「業績が低迷している企業」の会社売買に適した相場算出方法です。
②DCF法(インカムアプローチ)
インカムアプローチという体系に分類されているDCF(Discounted Cash Flow)法とは、将来獲得すると予想されるフリーキャッシュフロー(FCF)を基に、会社売買の相場を算出する方法です。今後得られるFCFの現在価値を合計した金額を、会社売却の相場とみなします。
将来の収益力を十分加味できるメリットがある為、「成長性・将来性の高い企業」の会社売買に適した相場算出手法です。一方で恣意や主観が入りやすいデメリットもあるため、専門家が算出した相場を参考にするのが好ましいと言えます。
③マルチプル法(マーケットアプローチ)
マーケットアプローチという体系に分類されているマルチプル法では、事業内容、会社規模などが類似する上場企業の株価指標を基に、会社売買の相場を算出します。類似会社比準法とも呼ばれるマルチプル法では、PERまたはEBITDAという指標を用いて相場を算出するのです。
未上場会社でも客観性の高い相場を算出できるため、ベンチャー企業の相場算出に効果があります。事業内容が類似する上場企業がなければ、会社売買の相場を算出できない点がデメリットです。上の動画にて、弊社のM&Aアドバイザーが解説しているので合わせてご覧ください。
いずれにしろ、バリュエーションはどれも専門的であり、算定は専門家に依頼する必要があります。M&A総合研究所では、無料で簡易的な企業価値算定を承っております。以下のリンクより内容をご確認ください。また、M&A・会社売買の相談も随時、無料相談をお受けしています。
会社売買における注意点
会社売買を行う際には注意点も押さえておく必要があり、特に注意しておきたいのは以下の3つです。
- 包括承継
- 休眠会社の売買
- 悪質な仲介業者
①包括承継
会社売買(株式譲渡)は、会社を丸ごと売買する包括承継です。そのため、買い手は、経営の障害になり得る不要な資産や負債、訴訟リスクなども引き継ぐことにもなります。つまり、買い手は、承継するもののリスクも踏まえたうえで会社売買を行わなければなりません。
対策としては、徹底したデューデリジェンスの実施です。また、仮にリスクが高い負債や訴訟などが把握された場合、会社売買を中止にする判断も必要になります。
②休眠会社の売買
休眠会社とは、登記されているものの事業活動を行なっていない会社です。大半の休眠会社は、用途がないために休眠会社になっています。廃業するにも費用や手間がかかるため、やむなく放置されている休眠会社も少なくありません。
売り手としては、不要な休眠会社を売却すれば資産を処分できるうえに、売却利益を得られます。買い手は、自力で一から起業するよりも、手間や費用をかけずに起業が可能です。また、必要な設備などが残っていれば、新たに揃える必要もありません。
ただし、売り手側が再び事業を開始する可能性がある場合は、慎重に休眠会社の売却を検討しましょう。一方、買い手としては、休眠会社には何らかの事情があることが想定され、経営リスクとなる負債などを持っている可能性が通常よりも高いと考えるべきです。
したがって、メリットとデメリットを比較し、また徹底したデューデリジェンスを行ったうえで休眠会社の買収判断を下さなければなりません。その際に頼りになるのが、M&A仲介会社などの専門家のサポートです。
③悪質な仲介業者
会社売買を行う際、注意したい存在は悪質な仲介業者です。数は少ないですが、悪質な仲介業者は、クライアントの利益にならない案件を持ち込んだり、自分達の利益を優先する仲介契約を結ばせようとしたりするなど、質の悪いサービスを押し付つけてくることがあります。
仲介業者を選ぶ際には、ホームページなどで情報を確認し、無料相談を活用して選定を見極めましょう。
不動産業界における会社売買
近年、会社売買が活発化している業界の1つに不動産業界があります。不動産会社の売買で事業を引き継ぐには、宅地建物取引業免許が必要です。宅地建物取引業免許がないと、会社売買をしても事業を継続できません。
ここでは、不動産業界における会社売買後も、宅地建物取引業免許を維持するための主な要件を解説します。
- 事務所に関する要件
- 人的要件
- 財産要件
①事務所に関する要件
会社売却後も引き続き不動産業を営むには、事務所の所有が不可欠です。他社と同一スペースを共有使用するレンタルオフィスは認められません。事務所には、固定電話や事務机、応接セットなどが備えられている必要があります。
②人的要件
従業員5人につき、宅建士が1人必要です。不動産業を継続したい場合は、会社売買の際に宅建士との雇用契約も必ず引き継ぎましょう。
③財産要件
不動産業を営むには、営業保証金の供託を要します。保証協会に加入するケースが大半で、総額150〜200万円程度が必要です。
会社売買の案件一覧【2024年最新】
ここでは、M&A総合研究所で取り扱っていて公開可能な売却希望案件を紹介します。案件の詳細については、お気軽に当社へお問い合わせください。なお、案件によってはすでに取り扱いを終了している場合もございますので、ご了承ください。
エリア | 売上 | 事業概要 | 譲渡希望価格 |
北海道 | 5億円〜10億円 | 解体工事・産業廃棄物処理会社 | 1億円〜2.5億円 |
関東・甲信越 | 1〜2.5億円 | 産廃プラスチックごみのリサイクル 樹脂加工・販売・輸出 |
1.5億円 |
関東・甲信越 | 2.5億円〜5億円 | 首都圏にて自動車業界や建材業界等に対し主に搬送機械や検査装置の設計・製造・据付を一貫して手掛ける | 3億2,000万円以上 |
関東・甲信越 | 5億円〜10億円 | オーディオ製品をメインに生活用品・家具等の輸入販売で質の高いライフスタイルを提案 | 7.5億円〜10億円 |
近畿 | 1〜2.5億円 | アウトドア関連商品の製造販売 自社製品に加え約5カ国から海外製品を輸入し販売 |
1〜2.5億円 |
中部・北陸 | 2.5〜5億円 | 特殊塗料の製造、卸売および施工・その他 | 1〜2.5億円 |
東京都 | 1〜5億円 | 飲食料品・繊維商品等の輸出入販売商社(赤字経営) | 1円 |
北海道 | 2.5〜5億円 | 中国の工場にOEMにて自社製品の製造を委託 EC販売が約8割、実店舗販売が約2割 主要商品はECモールの部門別口コミランキング1位獲得実績あり |
3億円(応相談) |
近畿 | 2.5〜5億円 | 住宅型老人ホーム・デイサービス・訪問介護・居宅介護支援 | 応相談 |
関東・甲信越 | 1〜2.5億円 | 首都圏エリアにて各種電気工事の施工・請負業 | 1〜2.5億円 |
関東・甲信越 | 1〜2.5億円 | 適正校認定の日本語学校を首都圏とで二校運営 土地、建物自社所有 |
3.3億円(応相談) |
関東・甲信越 | 1,000〜5,000万円 | 土地建物の仕入れて、その賃貸益で安定した売上を確保 一定の期間を経て、自社HPを活用した売却も行っている |
2~4億円 |
関東・甲信越 | 5〜10億円 | オーダーキッチン、バスルームの製造・販売業 | 5〜7.5億円 |
愛知県 | 2.5〜5億円 | 建材関連の金属加工(ベンド加工・プレス加工・切削加工・溶接加工など) | 希望なし |
中部・北陸 | 2.5〜5億円 | 水産物の卸、販売業 | 1〜2.5億円 |
静岡県 | 5,000万〜1億円 | 生命保険メインの保険代理店 | 5,000万〜1億円 |
非公開 | 5,000万〜1億円 | 墓石修理・改築・新築・文字彫刻 | 1〜2.5億円 |
茨城県 | 1,000〜5,000万円 | 月極駐車場を運営する不動産賃貸業 | 希望なし |
九州・沖縄 | 2.5〜5億円 | 自社保有工場での一般住宅用材木の製材加工 既製品7割・特注品3割 |
2.5〜5億円 |
関東・甲信越 | 5,000万〜1億円 | 家電の運搬~設置 取引先は数社のみであるが、荷主と直接契約を行う |
1,000〜5,000万円 |
東京都 | 2.5〜5億円 | 業務コンサルティング、業務設計、運用設計、システム開発 | 希望なし |
九州・沖縄 | 1〜2.5億円 | クリニック、介護福祉施設等を運営。無借金経営で高収益を確保 直近EBITDAは1億超。地元での一定顧客基盤を構築 オーナー一族所有の事業用不動産(時価:約4億円程度)の売却を含めた譲渡を希望 |
7.5〜10億円 |
関東・甲信越 | 2.5〜5億円 | 首都圏エリアでのアウトドアグッズ製造販売 デザイン性の高さと価格帯のバランスで高い評価、ECでの販売も開始 |
5億円 |
中部・北陸 | 1〜2.5億円 | 業務用食品加工卸(カット野菜メイン) | 応相談 |
中国・四国 | 5〜10億円 | 公共施設等の新築工事や仮設ハウス(プレハブ)建築・リース・販売業 | 1〜2.5億円 |
東京都 | 1〜2.5億円 | 完全非対面型ネット保険事業 人件費もほぼかからず、費用は広告費のみ 利益率は70%超 リスティング、SEOなどの広告運用に強み有り ペット保険、弁護士保険、自動車保険、自転車保険、ゴルフ保険、旅行保険、火災保険、生命保険と幅広く取り扱う |
5〜7.5億円 |
中部・北陸 | 25〜50億円 | 分譲戸建て建築販売 自社にて用地取得、開発、分譲戸建て建築を行っている |
5〜7.5億円 |
和歌山県 | 2.5〜5億円 | コーティングマシン製造が主力 大手先を顧客に持ち、新規設備やメンテナンスの引合は多い 長年の業歴を持ち、協力会社とも良好な関係を維持している |
1〜2.5億円 |
シンガポール | 10億円〜25億円 | 生鮮食品を除く食料品や飲料(グローサリー)の卸売事業を運営 創業25年以上のグローサリー卸売会社であり、2,500SKU以上の商品取り扱いあり |
応相談 |
中部・北陸 | 2.5億円〜5億円 | 生活日用品の卸売業を営んでいる企業 自社で配送機能を保有しており、直接取引先まで運送を行っている |
1,000万円〜5,000万円 |
アメリカ | 5億円〜10億円 | アメリカ、テキサス州ダラスにてアメリカ料理レストランを運営 レストランとバーを併設しており、ライブミュージックでも人気を集めている |
応相談 |
会社売買のまとめ
会社売買には、メリットもあればデメリットもあります。双方をてんびんにかけたうえで、会社売買の検討を見極めましょう。会社売買を行う際は、実力のある専門家に相談しながら手続きを進めるのが得策です。そうすることで費用に見合った会社売買が実現できるでしょう。
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